第40回 11月3日は「いいお産の日」(1) 〜子連れスタッフとして
今日は「お産カーニバル」
10月最後の日曜。予報は雨だったのでお天気が心配だったが、前夜の雨が朝少し残っていたくらいで、それもまもなく止んだ。今日は江の島で「お産カーニバル」が開かれる。赤ちゃんや小さい子ども連れ、おなかの大きい妊婦さんにとって、お出かけのときの天気は大問題。お天気でよかった〜! たくさんの人が遊びに来てくれるといいなあ。
11月3日は「いいお産の日」。東京で初めてイベントが開催されたのが1994年だそうだ。そのイベントに参加した助産師さんから、会場の熱気や集まった人たちのエネルギー感じる話を聞くうち、「私たちも湘南で開こうよ」と始まったのがお産カーニバル。
赤ちゃんがいてもできること
前年にナツを産んでいた私。ナツを産んだ助産院でその話を聞きつけて、迷わず参加することにした。8年前のことだ。当時の私は「赤ちゃんがいるからできない」ことばかりに目が向いていた。赤ちゃんがいるから外出できない、仕事ができない、家事ができない。
だから「赤ちゃんがいてもできる」「赤ちゃんがいるからできる」ことがあるのは、私にとって夢のようだった。本当の意味で、赤ちゃんのいる生活を受け入れるきっかけになった気がする。
今年で8回目のお産カーニバル。ナツは8歳。ナツとお産カーニバルは一緒に年をとってゆく。お産カーニバルの歩みは、私の子育ての歩みでもある。そう考えると、ちょっとうれしい。
ママたちのパワーって、すごい!
さて、会場に着くと、すでにオレンジのスタッフTシャツを着た助産師さん、ママ、パパとその子どもたちでロビーはあふれている。赤ちゃんもたくさんいる。これだけたくさんの人たちが何かしたい、何かやろうと集まっている。ママたちのパワーってほんとにすごい。私も荷物を置き、シュンをおんぶして、会場の設営の手伝いを始めた。
2歳くらいまでの小さい子どもは、保育担当のスタッフにみてもらうことができる。自身もたいてい小さい子どもがいて、自分の子どもと一緒に私たちスタッフの子どももまとめて面倒みてくれる、頼もしいママたちだ。
「ママ〜、ママ〜」シュンが離れない
会場の設営もだいたい終わったところで、私もシュンをお願いすることにした。ガムテープに名前を書いて、シュンの背中に貼る。「根本シュン 連絡係」。ママの係を書くのは、赤ちゃんがおっぱいを欲しがったとき、泣いてしまったときなどに、ママが会場のどこにいるか分かるようにするためだ。
「離れられるかな」とちょっと心配しながら、マットの上にシュンを下ろす。シュンはすぐに私のひざにしがみついてきた。
ヨーコ「シュン、お友達もたくさんいるし、おもちゃもあるし、楽しいよ」
シュンの好きそうなおもちゃがあったので、近くに置いてやったら遊び始めた。小声で「じゃ、お願いしま〜す」と保育スタッフに声をかけてその場を離れようとすると、気配を察したシュンが「ママ〜、ママ〜」とまたしがみついてきた。やっぱりだめか・・・
ヨーコ「落ち着いてから、またあとでお願いします」
と言って、再びシュンをおんぶした。
ナツとアチャは「お店屋さん」
ナツとアチャは「お店屋さんを手伝う」と朝から張り切っている。子ども服のリサイクルコーナーやくじ引きコーナーなど、お手伝いできそうなところもありそうだ。
ナツは心配ないけれど、アチャは大丈夫かな。会場となっている「神奈川県立かながわ女性センター」には託児室があり、2歳〜6歳までの子どもを無料で預かってくれる。昨年までアチャはそこにお願いしていたが、今年はどうしようか。
一人でどこかへ行ってしまう心配がやっとなくなったアチャ。大ホールで子どもが楽しめそうなコンサートもあるので、できれば参加させてやりたい。毎年来ているこの会場なら迷子にはならないだろうし、顔見知りのスタッフもたくさんいるし、今年は一緒にお産カーニバルを楽しませてやることにした。
ヨーコ「ナツかママと一緒にいるようにしてね」
アチャ「うん、分かった」
「ママがいなくて寂しかった」なんて、かわいらしい
朝のうち、アチャは私にべったり。連絡係の私は、会場が3つの部屋に分かれているので、その間を行ったり来たりする。少しでも姿が見えないと
アチャ「ママ〜、どこに行ってたの?」「ママがいなくて寂しかった」
といつもは言わないようなかわいらしいセリフ。好き勝手に会場内を動き回るんじゃないかと思っていたので意外だった。そばにいてくれれば、それはそれで心配しなくて済むから、ま、いいか。
シュンは、その後も何度か保育スタッフさんに預けようと試みるが失敗。「今日はママから離れないぞ」と固く決意しているらしい。昼寝するまでおんぶで頑張るか。
そうこうしているうちに、開演の時間が近づいた。ホールは、秦万里子(はたまりこ)さんのピアノコンサートからスタート。シュンを背中に背負い、アチャを連れて、ホールの前のほうに座った。(続く)
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