トコちゃんベルト専門店  >  子育て便り(目次)  >  私はドゥーラ(お産の付添人)(26前編)

2011年8月12日夜、この原稿をアップした4日後、木村章鼓さんに男の子が生まれました。「とっても穏やかなお産で、家で、家族に見守られて、あったかいまどろみのなかで生まれました」と連絡をいただきました。おめでとうございます。(ママ・チョイス)

第27回 ‘命は自分のものであって、自分のものではない’という言葉が刻まれた杯が、次々と回されてゆくように(後編)


ドゥーラ仲間、レベッカの死
ポッサムィ
我が家の玄関先に初めてポッサムが出現した晩。キュートな目! 数日後に再来。人を怖がらずまったく逃げないのでじ〜っと観察させてもらった

書こうかどうかずっと迷っていたことだが、第22回に掲載した写真のうち、3枚もの写真に写っている大切なドゥーラ仲間だったレベッカを、私は1年ほど前に亡くした。いつも私の横にいてくれた、とても大切な友人だった。

第22回の原稿と写真をママチョイスの社長さん、西井紀代子さんに送った直後に、レベッカの脳腫瘍が見つかり、わずか5カ月足らずの命だった。

その間、我が家はスコットランドからロシア行きの引越しも抱えており、肉体的にも精神的にもいっぱいいっぱいになってしまった。そしてロシアに移り住んだ翌月、沈んだ声で、エジンバラ在住の別のドゥーラ仲間から国際電話があり、レベッカの死を知らされた。


お産への熱い想いを託したかったのだろう
ガルベストン
我が家から車で約45分の海。この日のガルベストンはドラマティックな空

お見舞いがてら、玄米ごはんとお味噌汁を作りにレベッカのエジンバラの家に通っていた最後の数カ月間が走馬灯のように思い出される。

ホメオパスでもあった彼女は、お産に効くたくさんのレメディーを私にくれた。なかには、へその緒、母乳、羊水や胎盤から作られた貴重なホメオパティックレメディーもあった。

当時、それらのレメディーはUKの専門家の間でもまだ売り出されたばかりだったので、レベッカから分けてもらったことを有難く感じていた。今になって思うと、もう先がわずかなことを知って、お産への熱い想いを私に託したかったのだろう。。。


テキサス産のエクストラヴァージンオリーブオイル
意外にも超絶品。テキサス産のエクストラヴァージンオリーブオイル

また必ず会えると信じて交わした抱擁

私たちがロシアへと出発する直前、顔こそ浮腫んでいたけれど、それ以外は元気そうだったレベッカ。エプロン姿でキッチンに立ち、ひまわりの種と醤油を炒りつけたスナックを自ら調理しているほどだったので、うん、これならばなんとかなるかも、という期待があった。

いつロシアからお見舞いに戻って来られるか分からない私にとって、辛い別れには違いなかったが、また必ず会えると信じて抱擁を交わした。
だから、ショックだった。
まさかその翌月に突然天国へ旅立ってしまうとは、夢にも思っていなかった。


生と死は分かちがたく繋がっている
助産師サンドラ
今回、我が家のホームバースを見守るテキサス生まれの助産師サンドラ

だが、そもそも命の在りようとは、まったく予想のつかないもので、急にはじまったり、終わったようにみえるものなのだ。一見、唐突に思えても、生と死は分かちがたく繋がっていて、ひとつの輪のなかで互いに無限のカーブをなぞりつつ安定して存在する。

「‘命は自分のものであって、自分のものではない’という言葉が刻まれた杯が次々と回されてゆくように、今日というこの日は、言葉を越えた真実を知っている」という言葉を残したのは、私の大好きなペルシャの詩人、ルーミーだ。


――― そして今回、宿ってくれた小さな命に、遥かレベッカから手渡された繋がりと、あたたかい温度をじかに感じている私がいる。

オーガニックのキノコ類
ファーマーズマーケットでオーガニックのキノコ類を購入。網であぶったら最高!




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著者プロフィール
木村章鼓(きむら あきこ)
英国在住のドゥーラ&バースファシリテーター
エジンバラ大学大学院 医療人類学(Medical Anthropology) 修士
約65カ国を訪問し、世界のお産に興味を持つ2児の母
「ペリネイタルケア」(メディカ出版)にて「ドゥーラからの国際便」を連載中
HP http://nomadoula.wordpress.com/