第28回 ‘マイミッドワイフ’、サンドラさんとの出会い
初めてサンドラさんと会ったのは、2011年1月。
まだ妊娠が継続するかも分からない妊娠2カ月目のことだ。
開業助産師である彼女にコンタクトするのは、自宅出産の最初のステップだ。
‘キャロルさんからあなたを紹介して頂きました。ホームバースに興味があって。。。’
ちょっとドキドキしながらこちらが切り出すと、受話器の向こうから響いてきたのは、しっとりとした女性らしい声。これは意外。
というのも、アメリカ人のミッドワイフで、しかも逆子や双子でも介助するベテランと聞いていたので、私のなかで勝手に、太く力強い声をイメージしていたのだ。
翌週、サンドラさんを自宅に迎え入れて、さらにびっくりする。長い金髪をゆるめに結いあげ、瞳と同系色の青いワンピースで微笑んでいるスラリとした女性は、とても25年のベテラン助産師には見えない。
初回にも関わらず、サンドラさんは、助産師になるきっかけや、生い立ちから娘さんたちのことといった自身の半生についても、ごく自然に語ってくれた。同時に、自分の仕事に対しての誇りと使命感が私たち夫婦に熱く伝わってきた。
当初、私はすでに別の助産師キャロルさんと会っていたのだが、‘逆子の場合にはどうしますか?’
というこちらの質問に対して彼女は、
‘すぐにサンドラを確保します。彼女ともう一人、ふたりしか逆子を扱う開業助産師はヒューストンにいないんです’と答えたのだ。
上の子を妊娠中、一時的に逆子になってヤキモキしたことを振り返りながら夫婦で相談をして、ならば最初からサンドラさんがいいのでは、ということになった。
後日、正直にそのことをキャロルさんに伝えると、性格的な相性もあるし、サンドラさんに一度会ってみることを快く勧めてくれた。そして前述の通り、サンドラさんと面会することになった。
会って話してみると。。。これは出会い!夫婦でピンときた。迷わずその日のうちにサンドラさんに介助をお願いすることに決めた。
ここから、彼女との長いようであっという間のアメリカンホームバースの旅がはじまる。
次回は、なぜサンドラさんにピンときたのかについて書きたい。
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木村章鼓(きむら あきこ)
英国在住のドゥーラ&バースファシリテーター
エジンバラ大学大学院 医療人類学(Medical Anthropology) 修士
約65カ国を訪問し、世界のお産に興味を持つ2児の母
「ペリネイタルケア」(メディカ出版)にて「ドゥーラからの国際便」を連載中
HP http://nomadoula.wordpress.com/