トコちゃんベルト専門店  >  子育て便り(目次)  >  私はドゥーラ(お産の付添人)(29)

第29回 ホームバースにかかる費用は? 意外と高い、コストパフォーマンス


出産が2度目の場合で、訪問検診の費用は病院出産の1/3
クリニック
ホームバースでも超音波診断のため妊娠後期に入ったらクリニックへ行くと安心

ところで、今回のホームバースにかかった費用の面をみてみたい。

妊娠中、助産師のサンドラさんは、11回訪問検診のために我が家を訪れた。そしてお産当日の介助に続き、産後4回の訪問検診があった。そのすべてを含めて私たちがサンドラさんに支払った費用は、病院出産の3分の1程度の4千ドルほど。有難いことに、2度目のホームバーサーは費用を大幅に割引してくれる。サンドラさん曰く、初産のホームバースと2度目のホームバースは、要する時間や手間がまったく違うという。

上記の他に、妊娠後期に入ってから、サンドラさんの嘱託医の産婦人科クリニックへ超音波検診のため2回行った。これは別料金で、1回につき100ドルほどかかるが、受けるだけの価値はある。超音波技師のおばさまに、出産直前の赤ちゃんの頭の大きさや、羊水の量、へその緒が首に巻きついていないかなどを細かくチェックしてもらう。


医療保険からの戻り分を差し引くとさらに…

まだ今は生後1カ月半でバタバタしているため保険会社に請求していないが、医療保険から一部戻ってくることを思えば、4千ドルといっても実際に私たちが支払うことになるのはその半額以下だろう。

この金額をどう受け取るかは人によると思うが、私にしてみれば、ここまでしてもらってこんなに安くていいのだろうか、という気持ちだ。

個々の医療施設によってピンキリなので金額は一概に言えないが、アメリカは医療保険の仕組みが日本とは違い、たとえプライベートの医療保険に加入していても、出産後にそれなりの金額を病院に支払うのが普通だ。

それを考えると、ケアの質、内容の濃さからみてもホームバースのほうが断然コストパフォーマンスが高い。


サンドラさんの妊婦健診〜食生活からエクササイズまで
我が家のアイビー
我が家のアイビーがすくすく大きくなる頃、お腹の赤ちゃんもすくすく育っていました。

妊婦検診からして、病院側の都合が基本的に優先される外来と違い、家まで来てもらえるというのはとても楽だ。上の子の心配も、出掛けるための身支度も、車の運転も、待ち時間もない。

サンドラさんは毎回1〜2時間時間をかけて、食生活から妊婦エクササイズまで多岐にわたる心身の指導、血圧のチェックなどに続き、赤ちゃんの心音や位置など細やかにお腹の状態を診てくれた。

血液検査などは、採血したサンプルをその日のうちにラボに送り、次回の検診時に結果を持ってきてくれるので、まさに自宅がクリニックになったような印象を受けた。東京で8年前に体験した自宅出産では、妊娠後期に入るまでは助産院に通わなければならなかったので、今回はそこが大きく違う。


木村からのお知らせ:
このたび、Houston Birth Alternatives: Be Informed, Encouraged, Supported(略名Houston BABIES)という名称のヒューストンを拠点としたホームバースサポートグループを立ち上げる運びとなりました。その第一弾として11年10月11日にKaty地区のバースセンターにて映画を上映します。アメリカの産科医療の崩壊と現実を浮き彫りしていると、ここヒューストンでも話題になったドキュメンタリー映画「Business Of Being Born」の第二作品目です。最新作「More Business Of Being Born」の上映会詳細はポスターの画像をご覧ください。






前へ 次へ
トコちゃんベルト専門店  >  子育て便り(目次)  >  私はドゥーラ(お産の付添人)(29)
著者プロフィール
木村章鼓(きむら あきこ)
英国在住のドゥーラ&バースファシリテーター
エジンバラ大学大学院 医療人類学(Medical Anthropology) 修士
約65カ国を訪問し、世界のお産に興味を持つ2児の母
「ペリネイタルケア」(メディカ出版)にて「ドゥーラからの国際便」を連載中
HP http://nomadoula.wordpress.com/