第37回 ドゥーラサミットinヒューストンで感じたこと(その3)新しいコミュニティ
「本当の意味で共感し合い、理解し合えるのは、家族ではなくやっぱり、ドゥーラ仲間。だから、一匹狼のようにいつもはフリースタンディングで働いている私たちが、こんなふうにラフに繋がって、集まって、励まし合うのはとても大事なこと」
あの晩肩を寄せ合った誰しもが、そう感じていました。
―― 果たして、その日を境にメーリングリストが作られ、毎日数十通のメールが交わされ、定例会を開くことが決まり、今や新コミュニティーは、情報交換のみならずバックアップ・ドゥーラ(※1)の募集に活発に利用されています。
また運営委員会のメンバーが選出され、メンターシップ制(※2)を導入するかどうかで議論が続いています。
ここヒューストンで新たにドゥーラになりたいと入ってくる人の相談に乗ったり、アドバイスをしたりするのが目的ということですが、あっという間に一夜の集いが‘組織化’されていく様をみて、私は、その行動力に感嘆すると同時に、正直、考えこんでしまったりもします。
規模はどうであれ、あるひとつの方向を向いて人々が集まるとおのずと生じるのが‘組織化’。
すでにDONAといった全米規模のドゥーラ養成機関は存在するのですが、そういった枠組みから資格を取得し、あとは地元で自分のライフスタイルに合わせてじっくり仕事と向き合う、というのが基本姿勢の地元ドゥーラたちが、どのようにして自らを組織だてていくのでしょう。
さまざまなルールを決め、会合を重ねていくことで、実際に働きやすくなっていくのでしょうか。
その時、ケアの質も同時に高まっていって欲しいと願っています。
もともと組織化を望まないはずのドゥーラたちが、どのような居心地のよい柔軟なグループをつくっていくのか、これからの動きに注目していきたいと思っています。
※1 バックアップ・ドゥーラ…担当のドゥーラに急用などができた際に、代わりに駆けつけるドゥーラのこと
※2 メンターシップ制…経験のあるドゥーラが新米ドゥーラを継続的に見守り、助言しながら独り立ちを支える制度
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木村章鼓(きむら あきこ)
英国在住のドゥーラ&バースファシリテーター
エジンバラ大学大学院 医療人類学(Medical Anthropology) 修士
約65カ国を訪問し、世界のお産に興味を持つ2児の母
「ペリネイタルケア」(メディカ出版)にて「ドゥーラからの国際便」を連載中
HP http://nomadoula.wordpress.com/