子育てママの休憩室

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第17回【かんころもちの味】

サツマイモのおやつ

久しぶりに四国の両親が遊びに来た。自慢げに取り出したおみやげは、あら珍しい(!)サツマイモの粉である。郊外の土産物屋で買ったのだという。

次の日、さっそくみんなで「かんころもち」を作った。塩をひとつまみ入れたサツマイモの粉に水を入れ、耳たぶくらいの固さにして、あとは粘土細工だ。

おじいちゃんが作ったのはカメ。ピカチュウと団子三兄弟は、5才のエリの苦心の作。2才のシュウヘイも、でこぼこの固まりを作っては並べている。これを蒸し器で蒸すと、「かんころもち」の出来上がりだ。

私も負けじと、傍らでオリジナルかんころクッキーを作ってみた。サツマイモの粉+同量の小麦粉+その半分くらいのオートミール+塩をひとつまみ。そこに菜種油を3回くらい回し入れ、手で全体になじませ、最後に水を少しずつ入れて固めにこね、小さくちぎって子どもたちに渡す。

これまた「ウサギのウンチ」だの「猫の顔」だのという代物が次々に天板に並んだ。オーブンで20分ほど焼くと、あー、いい匂い。

戦争はいやだ

両親の少年少女時代は、ちょうど戦時中に重なる。

食料が不足し、サツマイモに頼らざるをえなかった。乾燥させたイモを細かく砕いてお米に混ぜて炊いたのが、「かんころめし」。ご飯が黒くなってしまう。サツマイモの入らないご飯はごちそうで、「銀めし」と呼んだそうだ。

今の時代だからこそ、「かんころもち」のようなシンプルなおやつが、おいしく、ありがたい。そんな話をしながら、みんなでティーパーティーとなった。かんころメニュー2品は、子どもたちに大人気をはくし、おじいちゃんとおぱあちゃんの株も上がった。今の時代に子どもを産めてよかったと思うひととき。戦争だけは「ノー」と言いたい。

第18回【子どもたちとテレビのあやしい関係 その1】

<ボケモン好きですか?>  自分で闘ってよね

「ピカチュウ、いっけー」と、エリが叫ぶと、シュウヘイが四つん這いになって「ピカ、ピカ」と応える。最近は「でんきこうせーん」と言いながら、顔を真っ赤にして力んだりして、二歳ながらけっこう芸が細かい。

ご存じ「ポケットモンスター」は、子どもたちに大人気だ。

私もたまに一緒にテレビを見るが、ストーリーはなかなかおもしろい。友情や自然をテーマにして、ほろりとさせてくれることもある。ウルトラマンなどもそうだが、子ども向けとはいえ、さすがはプロの手によるものだなと感心させられる。

ただ、ポケモントレーナーがポケモンたちに命令して闘わせ、そして最後に「正義」が勝つ、というのがどうも……。

子どもたちの間では、闘いが大流行だ。せっかく息子の名前に平和の平の字をつけたというのに。まあ百歩譲って闘いはいいとして、人に命令して闘わせるのはいやだなあ。ウルトラマンだって、仮面ライダーだって、自分で闘ってるぞ。

ママのごひいきはコナンくん

という話を、ママ仲間に話したら「まったく、くだらない番組をだらだら見てるから、いらついちゃう」と言っていた。彼女はあまりテレビを見ないタイプなのだ。私の場合、テレビドラマ大好きタイプなのに、子ども番組の時間が終わると、お風呂やら子どもを寝かせたりやらで、自分はちっともテレビを見られなくて悔しい、これが正直な気持ち。子どもに訴えても全く同情してくれないのだが。

私の中では、子どもの喜ぶテレビ番組といえば、闘い、、暴力、殺人、勧善懲悪、おふざけ、というイメージ。もう少し健全なストーリーってないのかな。

と言いつつ、毎週月曜日は子どもと一緒に「名探偵コナン」に釘付けになっているお母さんなのだった。

第19回【子どもたちとテレビのあやしい関係 その2】

<テレビのお客さん>  ポケモンカード買ってよ

子どものテレビについての2回目、さて何を書こうかと考えていたら、5才の娘が話題を提供してくれた。昨日の夜のことだ。「ねえねえ、○○ちゃん、『ポケネンカードネオ』買ってもらったんだって。エリもほしいよー」

きたきた。テレビのコマーシャルに日々洗脳されているうえ、お友達に自慢されたら欲しくなっちゃうよね。さあなんと答えよう?

「○○ちゃんちは知らないけど、うちは欲しいものを全部買うほど余裕ないよ」「じゃあ、ママが忙しくないときでいいから買って」

違う、違う。時間じゃなくて、お金が足りないのだよ。生活に必要な物で、中身がよければ買うけどね。

と、受けて立ったら、子どもにはおもちゃが必要だと主張してきた。こうなると、何がいいおもちゃかという見解の違いに行き着いてしまう。

できあがったおもちゃは、つまらない

「エリはいつも、折り紙や積み木で素敵な物を作ったり、自分でお話を考えて人形劇したりするでしょ。あれいつも感心するんだよね。できあがったおもちゃはつまらないよ」

納得したとは思えないが、エリはその辺にあった広告の紙を折り曲げて、何か作り始めた。私は夕食の後かたづけを続ける。しばらくして「ほら、ペンギンだよ」と言うので見ると、広告の紙にくちばしやしっぽの出っ張りがついた、ユーモラスなペンギンちゃんがテーブルの上を歩いていた。まだまだ素直でかわいいお年頃なのだ。でも、もう少し大きくなったらこうはいかないだろうな。

テレビを見るとき、子どもたちは一方的に楽しみを与えられるお客さんになる。しかも、見る時間が増えれば増えるほど、本当に子どもらしい遊びを楽しむ時間が減ってしまう。

そこで、どうやってだらだら見を防ぐか、について次回は書きたいと思う。

第20回【子どもたちとテレビのあやしい関係 その3】

<テレビをだらだら見ないために>  作戦、いろいろ

テレビをだらだら見ないための作戦、立ててますか? テレビを置かないのが一番だけど、テレビ好きの私にその勇気はない。

テレビの電源を抜いておき、見たい番組がある時だけコンセントをさす、という方法を以前試みた。テレビは見ていないときでも電気を消費しているので、省エネ効果も期待できる。しかし、ビデオデッキのタイマー設定が解除されてしまうのが夫に不評をかい、却下された。

毎朝、その日に見たい番組を自己申告し、朝刊のテレビ欄に赤丸をつけていたこともある。しかし、子どもはいろいろな番組に目移りしてしまうので逆効果だった。

テレビにカバーを掛けた人もいる。昔は掛かってましたよねえ。スイッチを入れるときひと手間かかるのがミソ。色柄を選べば、インテリアにもなる。

子ども番組に追われる私

我が家の工夫は、テレビをリビングダイニングではなく、別の部屋に置いたことだ。人気者のテレビを、あえて冷遇したのである。おかげで、帰宅するなりテレビのスイッチを入れたり、ご飯を食べながら見たりということはなくなった。

しかし、そのしわ寄せは私にきた。子どものお目当ての番組は、だいたい午後七時台なので、それまでに夕御飯を終えなければならない。テレビの時間帯に縛られて、夕方の家事に追われてしまう。

子どもたちがテレビを見始めると、私と夫はしばらく静かにお茶を飲んだり、後かたづけをしたり、洗濯をしたりする。ふと時計をみると八時で、見る番組は一つだけとというお約束は、ほごになっている。親が、子ども番組の中身にうとくなるというのも気がかりだ。

それにしても、テレビほど優秀な子守りはいない、と思いませんか。

第21回【"HUG"抱く子育ての大切さ】

抱きしめること

英語で"HUG"(=抱きしめること)。日本語で書くと"ハグ"、いかにもしっかり抱きしめる、という語感だ。

昨年6月に発足した、かながわ母乳の会の合い言葉は、この"HUG"だ。小児科医の堀内勁さん(聖マリアンナ医大横浜市西部病院周産期センター長)を代表に、小児科医、産婦人科医、助産婦、保健士、保育士らの専門家や、私のような普通のお母さん、お父さんが集い、会報を発行したり、セミナーを開催したりしている。

母乳はただの栄養ではない。おっぱいをやるときはいつも、肌を触れあって抱いているので、何の努力もしなくても"HUG"な子育てができるのである。もちろん粉ミルクで育てていても、意識して抱いてやればいいし、事情があってお母さんが抱いてやれなければ、お父さんやおばあちゃんがしっかり抱いてやればいい。"HUG"こそが、赤ちゃんに必須の栄養素なのだ。

悲しい事件のこと

ところで、近頃、思春期の子どもたちが起こす悲しい事件が多い。まだ無邪気な年齢の我が子を見ながら、ふと難しい年齢になったときのことを考える。

いやいや、先のことを考える前に、とにかく今、精一杯抱きしめてやろう。子どもたちが成長し、思春期を迎え、もし親も子も道に迷うことがあったとしても、無条件に甘え、甘えらた経験が体の底に流れていれば、どこかに出口が見つけられるような気がするのだ。そんなに甘くない? のかな。

第22回【抱っこして、抱きしめて】

あなたの感じ方に自信をもって

先だってこの欄でお知らせを書いた、かながわ母乳の会のフォーラム「HUG−抱く子育ての大切さ」は、約三百人の方の来場でにぎわった。

「あなたのままで、母を生きる」と題した、詩人でエッセイストの浜文子さんのお話。それから、保育園園長、助産婦さん、小児科医、よこはま母乳一一〇番代表、以上四人の方の報告。

いずれも、母乳育児の話を交えながらの、子育て、医療全般にわたるメッセージだった。

どの方のお話も、「お母さん、大丈夫よ。あなたの感じ方に自信を持って」「医師や助産婦さんら専門家は、それをサポートしましょう」ということにつきるだろうか。

おっぱいオンステージ

五人の演者のうち二人の方が、現役のおっぱいお母さんで、乳飲み子を抱いてステージにあがった。

助産婦の高橋なぎささんの赤ちゃんがちょっとむずかったとき、彼女はごく自然にTシャツをめくっておっぱいを出した。そのとき、会場から「おーっ」というどよめきがおき、そのあとみんなの頬が緩んだような気がした。もちろん、赤ちゃんはちゅぱっとおっぱいに吸い付き、すっかり満足して、お母さんの話を子守歌に眠ってしまった。

母乳の電話相談を受けている「よこはま母乳一一〇番の代表、本間奈穂子さんの赤ちゃんは、壇上のマイクやお花で遊びながら、お母さんの脇役をこなしていた。「ぼく、毎日とても楽しいよ」と言っているようだった。

浜文子さんは、育児書を読まないで、情で育てなさいと言われた。

「抱っこして、抱きしめて、甘えを満たしてやる。あなたは愛されているんだと、背骨の中までしみるように」とも。

かながわ母乳の会では、そんな子育てを支援していきたいと考えている。

第23回【フリマは楽しくて経済的!】

Tシャツ3枚400円

フリーマーケットにお店を出した。自治会主催なので出店料は無料だ。エコロジー&エコノミーがモットーの我が家としては、見のがせないイベントである。

レジャーシートの上に並べたのは、小さくなった子ども服やいただき物のエプロンなど。友だちが出した品物には、ビニールテープに値段を書いて貼ってきてもらった。テープの色を変えれば、何人参加しても、最後にそれぞれの売り上げを精算する事ができる。大勢でお店を出せば、商品にバラエティーが出るし、順繰りに店番をできるので、買い物も楽しめるのだ。

なーんて、"通"ぶって書いたが、売り上げの方はさっぱりである。なにせ主力商品が10円〜50円の着古しノーブランド子ども服なので、売っても売っても1,000円に届かない。しかも娘のTシャツを3枚買ったので、引き算するとあらら……って感じ。でも、Tシャツはなかなか上質のもので、全部で400円だった。とても得した気分だ。

10円と100円はどっちが高いの?

そのうち、子どもたちが「おもちゃ欲しいー」と騒ぎ出したので、ひとり100円の予算で買ってやることにした。お店を軒並みのぞいて回る。

高すぎて買えなかったり、大きすぎて私にダメを出されたり、お店やさんが保育園のお友達だとわかって盛り上がったりしながら、やっと見つけたのが、シュウヘイはウルトラマンの人形で、100円。もとはン千円するらしい。

エリが見つけたのは、何かのおまけのようなゴム人形で、これは10円。小さいながら、バイクと乗っている人を付け外しできるので、すっかり気に入って遊んでいる。

帰り際に、思い出したようにエリが言う。「ねえ、10円と100円って、どっちが高いの?」

自分にとって価値ある物を掘り出して安く買うのが、フリーマーケットの醍醐味なのだよ。みなさんも、いかが?!

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著者プロフィール
西井紀代子(キヨ)。当ホームページ・ままメルを運営するママ・チョイス代表。1994年生まれのエリと1997年生まれのシュウヘイの母です。子どもたちが5歳と2歳のときにエッセイの連載を始めました。子どもたちに言わせると「ぜんぜんかまってくれない」面倒見の悪い母。まったくその通り、の私です。