子育てママの休憩室

ままメルドットコムままメルスタッフのつぶやき > キヨのエッセイ「子育てママの休憩室」

第50回 生活を子どもに見せたい

うどんカフェ開店

20世紀から21世紀へ。ちょっと特別な感慨のある年明けだった。
「今年はわたしたちにとって変化の年。大変なこともあると思うけど、どうぞよろしく」の気持ちで新年のお重箱を囲んだ。
というのも、昨年の暮れに、念願のうどんやを開店したのである。

名付けて「うどんカフェ」。手打ちうどん、手打ち蕎麦(そば)の店だけど、お茶もできる、という名前そのものの店だ。

食品添加物や遺伝子組み換え食品を排除し、すべて手作り、野菜たっぷりの日替わりセットやオーガニックコーヒーが自慢である。良く聞かれるのは、どうしてお店を始めたの?という質問。その答えは−。

「夫がサラリーマンに嫌気がさしてやめてしまったから。しかも就職が厳しい年齢なので」
それでなぜうどんやを?と聞かれれば
「家族全員うどん・蕎麦が好きなので」。
そして「私がすすめたから」だ。

仕事の選び方

世の中には、星の数ほどさまざまな仕事、商売がある。
その中でも、なるべく生活必需品に近い商品を顔の見える関係で販売する。そういう仕事が一番ストレスがが少ないのではないかと考えた。食べ物なら、自分が食べたい、子どもに食べさせたいと思うようなものを手作りするのがいい。これなら、子どもたちにも「お父さんの仕事」が理解しやすいだろう。

店舗は自宅近くという条件を最優先に探した。子どもたちとの時間を大切にしたい。そして、働くこと、生活することの丸ごとを見せていきたいという願いからだ。

しかし、わずかな日数を営業して見て、一番大変だったのは、まぎれもなく子どもたちだったのである。その話はまた今度。

第51回 子どもたちのストレス

毎日がおよばれ

手打ち蕎麦(そば)と手打ちうどん、カフェの店「うどんカフェ」を、年末にオープンしたと先週書いた。「最初は大変でしょう?」と、まわりの人が皆心配してくれる。はい、その通り。しかし、一番お疲れなのは私でも夫でもなく子どもたちなのだった。

年末年始や日曜祝日は保育園が休みだったが、何かと手が足りないので、私も店を休むわけにはいかない。それで、子どもたちは友達の家を渡り歩くようになってしまった。

ある日は朝から夜のおふろまでついでにパジャマまで貸してもらったTくんのおうち。ある日はNちゃんのうちでクリスマスパーティーに飛び入りし、またある日はRくんの家族が総出で我が家にて留守番をしてくれた。子育て族には、「困ったときはお互い様」精神がしっかり身に付いているのだ。

甘える、わがまま、泣くのフルコース

子どもを産む前は、こんな助け合いが苦手だった私。でも、子育てをしながら、人に甘え甘えられることを学んだように思う。

そもそも赤ちゃんは、誰かの助けなしでは生きていけない。赤ちゃんの世話をするのは大変だけど、赤ちゃんの存在そのものが幸せを感じさせてくれる。そして、なにより子育ては一人きりでは出来ないのだ。ママひとりで背負い込んでいてはパンクしてしまう。

さて、すばらしい”ママ・パパ”ネットワークをありがたがっているのは親の方で、子どもたちの方は複雑な思いでいるらしい。

めったにないおよばれの連続で、日中は盛り上がっている。しかし、うちに帰れば、もう大変。甘えたり、わがままを言ったり、泣いたりのフルコースである。彼らなりに遠慮したり気を使ったりして、ストレスをためているんだろうなぁ。最近やっと、パートの人たちとのチームワークがとれてきて、少し私も子どもたちも楽になった。少しだけほっとしている。

第52回 子どもがいてこその経験

パーティーをひらこう!

「わたしのお産サポート・ノート」を出版しましたと、せんだって書いたが、この本づくりには、実にたくさんの方の協力が欠かせなかった。医師や助産婦、イラストやデザイン・編集にかかわった人たち、自らのお産や育児の体験を語ってくれたママたち、他おおぜいの皆さんのことだ。あの人にもお世話になったなあ、と思ううちに、みんなでわいわい集まってみたいという誘惑に駆られてしまい、夜の横浜・山下町で「出版記念パーティー」をすることになった。

来てくださったお客さまは、それぞれ職業も年齢もさまざま、初対面の人も多かったが、共通しているのはお産や子育て、そして人生を楽しく、より自然に手をつなぎ合っていこうよ、という願いだ。

赤ちゃんや子供連れで来てくれた人が10組くらいあった。もちろん私も子連れ、夫連れ。パーティーの最後に、のびやかな声で歌と太鼓のライブを楽しませてくれた中ムラサトコさんも、4歳の子連れステージだった。

子連れには予期せぬ出来事がつきもの

子供を連れていると、つまずくことが多い。この日も、パーティー準備の集合時間に遅れそうになって、慌てて出かけようとしているのに、エリが「やっぱり、どうしてもいや」とギャザーのスカートを脱ぎ捨てて普段着に着替え始めた。結局いつものズボンにTシャツ姿でドタバタ出発(もおっ、せっかく買ったのに!)かと思えば、パーティーの途中で「うんこ」と言いだしたシュウヘイは、トイレに行ったものの間に合わずパンツに漏らしてしまうし・・・

子供がいると大変な事、できないこともあるけれど、子供がいてこそその出会いや経験はかけがいのないものだ。たくさんの方にお祝いや励ましの言葉を頂いて、しみじみそう思うことができた。

第53回 「その子らしさ」を大切に

男の子は『遊戯王』、女の子は『キティちゃん』

先日あったエリのクラスの保育園生活最後の懇談会の、そのまた最後の話題は、卒業記念品のことだった。

お世話をかって出てくれたママたちから提案された記念品は、名入れ鉛筆と筆入れ、定規などのセット。
「実用品がいちばんよー」という私たちの声にこたえて選んでくれたものだ。もちろん、全員大賛成である。
「それでね、鉛筆の柄なんだけど、男の子は『遊戯王』で、女の子は『キティちゃん』でどう?」

そっか。それは残念。今エリが夢中なのは『遊戯王』で、『キティちゃん』が好きなのはシュウ(3歳)の方なのだ。
と、話してみたら、「じゃあ、希望をとったらどう?」という案が出た。そうそう、それがいいよね。ありがとう!

“性差”は確かにあるけれど

男の子はブルーで、女の子はピンク。活発に動くと「やっぱり男の子ねぇ」と言われる。そんなことに、ずっと違和感を持っていた。ただ子育てをしてみて発見したのは、やはり動きが激しい子は男の子に多いし、早くから言葉が達者な子は女の子に多い、“性差”はあるのだ、ということ。

だからといって、何でもかんでも男と女に色分けできるものでもない。

以前同じ職場で働いていた女性が、「女だから字がきれいだという先入観で見られるから、事務の仕事につくのがつらい」と言っていたのを思い出す。とても味のある字を書く人なのだ。その時、同僚の男性が私たちの話に入ってきた。

「そうそう。ボクは“男だから力仕事が得意だろう”と期待されるのが困るんだ」

“男らしく”“女らしく”ではなく、その子らしく、好きなことを楽しんでほしい。
そして、自分にあった仕事を見つけられたらいいな。大人になったエリが、この原稿を読んで「へーっ、昔はつまらないしきたりがあったのね」なんて言っていればいいけど。

第54回 テレビはさておいて

ペットボトルのスカーフを出す遊び

今年は、本当に(!)よく雪が降る。とりわけ先々週の土曜日は、まるで雪国のようだった。

風邪気味の子供たちを保育園に連れていくのもためらわれ、「きっとお客さんもわずかだろう」と、うどんカフェへはパパ一人で出勤することになった。私と子供たちは「よーし、遊ぶぞー!」。

以前、ホームページで「家にある物を使って工夫した遊び」を募集したことがある。

「フィルムケースに豆やマカロニ、鈴などを入れてマラカスにする」「ペットボトルでボウリング」=これらは定番かな。

「ペットボトルにスカーフを入れて渡すと、それを引き出して喜ぶ」
「ガムテープを床にはると、一生懸命はがす」
と答えてくれたのは、きっとまだ赤ちゃんのママだろう。単純な作業に意外なおもしろさがある。

広告やお布団を使って

「広告の紙を巻いて棒にしてチャンバラごっこ」
「広告の紙の棒を輪にして輪投げ。イスを逆さまに置いて足をめがけて投げる」
「子供のころ、父親が新聞紙で洋服を作ってくれた」
「段ボール箱に穴を開け、まるめた広告の紙で玉入れをする」なども、すぐにできるし、楽しそう。

「お布団をたてて、シーツを屋根にしてキャンプごっこ」「布団を重ねた上を、座布団のそりに乗ってビューンと一気に滑り降りる」。
ワクワクするなー。でも、うちの布団は薄くて立ちそうにないので残念・・・。

さて、車の音も人の声もなく、かまくらの中で遊んでいるような雪の一日。まずは積み木、それからピザやさんが開店した。広告の紙から切り取ったピザが並ぶ。

「熱いですよ!」「あちっ」「ふうふう」なんて言いながら。こんな日はどうもテレビの影が薄くなるらしい。

第55回 メンコ派は歯がゆい?

「遊戯王カード」が欲しい

テレビマンガのキャラクターを印刷した「遊戯王カード」が大流行である。

近所のコンビニで5枚入り150円で売っている。袋の中は見えないので、「強いカードが入っていますように」と念じながら買うらしい。
・・・なんて世界は、隣の話だと、ついこの間まで思っていた。ところが、我が家の幼い子ども達にも、ひたひたとその流行の波が忍び寄っていたのである。これがなかなか厄介だ。

我が家の場合、私も夫もこの手の物に財布のひもが固い。しかし、どんどん買い与える親もいる。子育ての方針がうんぬんというよりも、親の趣味の違いとでも言おうか。エリにしてみれば「○○ちゃんはいっぱい持っているのに、何でうちは・・・・」と合点がいかない。我が家の生活スタイルを確認するいい機会である。

小学生が小さい子のカードを巻き上げるトラブルに、困っている親も多い。

共通のモノを媒介にして、年齢を越えて遊んだり、もめたり、友達をうらやんだり・・・。それが子ども達の世界なのだろうか。

男の子の定番遊び

さて、エリは誕生日にもらった5枚と、お年玉で買った10枚を元手に(?)、今や80枚位のカードを束にしてご満悦である。ゲームは難しくてできないけれど、カードを交換したり、見せ合ったりするのが楽しいらしい。カード社交界デビューというところだろうか。

そういえば、昔もメンコってものがあった。男の子の遊びの定番だったはずだ。そこで、昔の子ども達にこう聞いてみた。

「メンコも遊戯王カードも似たようなものだよね」
「違う、違う。メンコは技を磨いて自分のより大きいメンコを倒すことができるんだぞ」と力説する夫。
「昔は今のように際限なく買ってもらうということはなかった」というのは私の父。

メンコ派には、現代の遊びがひどく歯がゆいらしい。

第56回 「遊戯王カード」に勇気

毎晩数えたお年玉

500円、100円、50円、10円、5円、1円が各1枚ずつ。ボチ袋の中に入っていたのは、計666円だった。お正月に、友人が子ども達にプレゼントしてくれた、ユニークなお年玉のことだ。

エリは、そのお金を財布に入れて、毎晩数えてからまくら元に置いて寝ていた。これでママが買ってくれない「遊戯王カード」を買えるというのだから、自分のお金って、なんてありがたいと思ったらしい。

私がなぜ「遊戯王カード」に気がすすまないかというと、どうせすぐに飽きるから、である。子どものおもちゃの流行(はや)りすたりの激しさといったらない。それを如実に表しているのが、フリマ(フリーマーケット)での値段だ。

先日出掛けたフリマで、ついこの間まで隆盛を誇っていた「ポケモンカード」が一枚1円だった。山のようにカードを積み上げて売っているのは、小学3年生くらいの子である。

すぐ横で、少し「遊戯王カード」も売っていたけれど、こちらは1枚10円。需要と供給の関係で価格が決まるって事だよね。

買い物と価値観

モノを「買う」のは難しいことだ。モノの価値と値段は必ずしも比例しない。商品を売る側は、つまらないものでも、いかに価値があるモノに見せかけるか一生懸命工夫するのだから、買う方としては油断できないのだ。自分なりに価値基準をもって、考えることのできる子になってほしいなあ。だからね、そんなつまらないカード買わなくても・・・。

もっとも、大方の人には高くてつまらないものでも、自分にとって価値があれば買えばいいのだが。

それに、エリが初めて一人で買い物ができたのは、このカードのおかげだ。お店の人に「遊戯王カードください」の一言を言うのに、大変な勇気がいったらしい。「大根1本下さい」だったら、何も言えずにすごすご帰ってきたかもしれない。

第57回 好きな色や形でお祝い

個性豊かなランドセル

ブランド物のランドセルの売れ行きがいいという。
色や形が個性的で、なかなかすてきだ。今年、エリが小学校にあがるので、そんなニュースが気になる今日このごろ。私もまわりのママ達に取材してみた。

Aちゃんは「黄色いランドセルがいい」と言ったそうだが、黄色はブランドものしかなく値段が張る。「お願いだから赤か黒にして」と説得して一件落着。

Kちゃんのパパはおしゃれなちょっといい男なのだが、彼の趣味で決定。「色は茶色。形はランドセルより横長で、塾にも持っていけるのよ」とのことだ。

Oちゃんのところは、スーパーの安売りで合皮の赤いランドセルを買った。牛革より合皮の方が型くずれしにくい。「3つ違いの妹にお下がりすることが出来るかも」

「みんなと同じがいい?」

そう、ランドセルの命は、短いのだ。大きい子たちは、皆、思い思いのカバンを持って登校している。ランドセルでは荷物が入り切らないし、ペチャンコにならないから、ロッカーがいっぱいになってしまうのよ。

と教えてくれたのは3人の子持ちベテランママMさん。彼女はこういう。

「ランドセルって、七五三の置物みたいなもの。あこがれの小学生になったお祝いっていうか」

ふ〜ん。でも、好きな色や形で祝ってやりたいな。女=赤、男=黒なんて気持ち悪すぎる。学校だけにしか使えないカバンは不経済だし、デザインもいまひとつなのよね。

で、我が家の新1年生の希望はというと「赤いランドセルがいい」。なぜ?と何度聞いても「わけは言えない」の一点張りだ。

「みんなと同じがいいって言うと、ママとパパに『そんなのへんだよ』って言われるに決まってるから?」
と聞いたら、ニタッと笑って元気に「うんっ」ときた。返す言葉が見つからない。

第58回 大人のサンプルがたくさん欲しい

性相談の医師と坊主バーの僧侶

「行き方、活(い)き方、逝(い)き方」をメーンテーマに挙げたボランティアフォーラム(日本福祉大、日本NPOセンターなど主催)で、とても魅力的な方々と、てい談する機会をいただいた。

お2人はタダモノではない。赤枝恒夫=あかえだ・つねお=さん(赤枝六本木診療所院長)は、六本木のハンバーガーショップで深夜、若者たちを相手に、性感染症などの無料相談室を開いている産婦人科医。

清史彦=きよし・ふみひこ=さん(浄土真宗本願寺派瑞興寺住職)は、元商社マンで、今はお坊さん。大阪ミナミと新宿に「坊主バー」(!)を開き、お酒と語り合いの場をつくっている。

医師や僧侶の大事な仕事

与えられたテーマは「角度をかえて見てみよう、生き方再発見」だったが、“赤ちゃんに優しいお産”から現代葬式事情まで、話は飛んだ。その底に脈々と流れていたのは「命の声に耳を傾けたいね」という思いだったのかな、と後になって思う。

生まれてすぐに、お母さんの胸に抱かれること、人生の最後の日々に、話し合える人がいるということ、つらいときや困ったときに心を開く相手や場があるということ・・・。衣食住が足りていても、これらのことが欠けていたらどうだろう。

そうか。この人達がやっていることが珍しがられてはいるけれど、これこそが医師や僧侶のメーン業務で、手術をしたり、お葬式にお経をあげたりするのは、二番目の仕事だったのね!

こういう出会いを経験すると、いつも思う。子ども達の命の声を聞いてくれる人は一人でも多い方がいい。私だけでは自信がないし、大人のサンプルとして偏っていると思うのだ。さまざまな年齢、立場、考え方の人との出会いやかかわりを手伝ってやりたい。もしかしたら、これが親のメーン業務なのかも。

第59回 押しつけず考えさせて

「子どもの気持ちも考えて」

前回、赤枝恒夫さん(産婦人科医)と清史彦さん(僧侶)とのてい談について書いた。てい談の中で、私は前々回に書いたランドセルの話を持ち出した。

いろいろな鞄(カバン)があるなかで、あえて「赤のランドセルがいい」というエリのことだ。そしてエリがすでに学校というものに固定観念を持ち始めているのではないか。学校という枠のなかに入っていくのではなく、地域の子ども達が学校という場に集うのだという感覚で、1日数時間を過ごす学校を楽しんで欲しいと願うのだが、と。

会場から年配の男性が発言した。

「私の父は他の子ども達と違う型の通学服と鞄を取り寄せた。子どもの気持ちも考えてほしい。また、子どもには大人が決めた規律を与えてやることも大事ではないか」

子どもに伝えたかったこと

少数派になるというのは、それなりに勇気のいることだ。でも「みんなと同じ」を基準に何でも決めていたら、自分がなくなってしまう。確かに大人が世の中のルールや矛盾、人と人との付き合い方を教えてやることは大事だと思う。それができてなくて、「日々反省」の私が言うのもなんだが・・・。でも、子ども自身の頭で感じ、考える習慣。これも同じくらい大事なことではないだろうか。

たぶん、私は3月のバーゲンで、赤いランドセルを買ってやるだろう。でも、その前にちょっと立ち止まってエリに考えて欲しかったし、私や夫の考えも伝えたかった。私は、そういう趣旨の話を返した。

「そうやね。親が自分の考えを押しつけたら、それこそ“みんなと同じ”と似たようなことになってしまうからね」と、清忠彦さんが結んでくれた。

第60回 パソコンの有用性を話す

インターネットは子育てママの強い味方

「かいじゃりすいぎょ、です」。

取材にきてくれるという、そのお笑いコンビの名前が聞き取れなくて、電話で何度も聞き直してしまった。後で周りの人に聞いたら「よくテレビに出てるじゃない」と、みな口をそろえて言う。申し訳ない・・・。現「くりぃむしちゅー」である。

さて、その数日後、海砂利水魚のお二人が「あのー、ママ・チョイスはここだって聞いたんですけど・・・」
と、うどんカフェの店頭から、いぶかしげに入ってくるところから取材は始まった。取材の目的は、私のホームページである。

今やインターネットは子育てママたちの強い味方なのだ。

「IT」って、なに?

例えば、ホームページの通信販売コーナー。妊婦でも腰に巻ける腰痛緩和ベルト、外出先で授乳するときにおっぱいが丸見えにならない洋服など、衣食住にわたって、子育て中の人の身になった商品を集め、販売している。ママ自身が開発したものだってあるのだ。

おススメ品ばかりだが、デパート巡りをしても見つけられない。外出しにくいママたちには、なおさらのことである。でも、ネットなら子どもの昼寝中にパソコンの前から注文できる。

また、私たちが本作りをするとき、子連れの打ち合わせは最小限にして、頻繁にメールのやりとりをする−。というような話を聞いてもらった。

この番組、内閣府の提供でIT化推進の為の啓蒙(けいもう)が目的らしい。最後に「ところでITってなんのことか知ってますか?」と聞かれた。

うっ・・・ 「I」は「インフォメーション」でしょ。「T」はなんだっけ・・・。

と、詰まってしまった私。さすがはプロのタレントさん、思いっきり驚いたあと、 「知らなくてもこういうことができるんですね」ときた。

よいオチが提供できてよかった(負け惜しみ)。 「ニッポンみたまま」は全国のケーブルテレビに配信されたそうだ。

第61回【卒園。うれしいけれど涙が・・・・】

「捨てられない」性格

本棚は古い本でいっぱい。押し入れには、リフォームしようかなと思って十年取ってある洋服があるし、極めつけはパソコンの中で、二度と使わない書類がびっしり・・・。

そう、わたしは「捨てられない」性格なのである。

さて、エリの卒業式の日。なんで涙が止まらないの?と思って気がついた。そうか、私はエリの保育園時代を捨てられないのだ。捨てられないママが周りにもいっぱいで、卒園式の間中、鼻水をすする音が絶えなかった。

一方、子供たちはみんな元気に歌っている。
「は〜るの〜こと〜です、思い出してご〜らん」
「みんな友達、ずっとずっとともだち〜」なんて歌を聴いていると、また涙が出てしまう。ううぅ。

私も遅れないようについて行かなきゃ

大きくなるのはうれしいけれど、そんなにどんどん行かないでよ、という気持ちがあるのだ。それなのに、子供たちは振り向きもしないで走っていく。

その日、私は区のイベントのパネリストを依頼されていて、子供たちをKくんのうちに預けた。夕方迎えに行くと、お使いに出ていたKくん兄妹とエリが帰ってきたところだった。

「え〜っ、なんでそんな小さな味噌(みそ)買ってきたのよ〜。」
とKくんのママが叫んでいる。見ると、まぁ、かわいらしい少量パック!

「お金が余ったから、みんな一つずつお菓子を買ったんだ。」
と、Kくんは誇らしげに言う。

やるじゃん、悔しいけど。入園当時、小さな手を握って離さなかった子供達。あれから四年、彼らは休む間もなく成長した。わたしも遅れないようについて行かなきゃ。

第62回【小学校入学。いつも自分自身で感じ考えて】

じっと座っているのが疲れた

小学校の入学式が終わった。

広い体育館で、校長先生のお話、担任の先生の紹介、来賓挨拶、君が代斉唱・・・。こじんまりした保育園でのんびり過ごしてきたエリにとっては、別世界の体験だろう。

「どうだった?」と聞くと、
「おもしろかったよ。でも、じっと座っているのが疲れた」とのこと。

でも、「たいへん!校長先生が9時まで寝なさいって言ったのに」なんて言っているところをみると、ちゃんと話は聞いていたらしい。入学式のあとエリを連れてうどんカフェに出勤して、夜の片づけまで終え、家族そろって家にたどり着いたのが、午後9時だったのだ。校長先生、悪い親でごめんなさい!

成人式に思う

エリはとても気まじめで、いつも相手の期待に添おうとして頑張ってしまうのが、いいところでもあり、心配の種でもある。人の言うことも大事だけど、自分の心で感じ、自分の頭で考えることも忘れないでほしい。これが私と夫の願いだ。

毎年、成人式に私語ばかりしてイベントを台無しにしてしまう若者たちのことが話題になる。成人式がつまらないなら行かなきゃいいのに、といつも思う。それとも、もっとおもしろい成人式の企画を提案する?いっそおしゃべりしたい人を誘って別の場所をもつとか。与えられた場で自分勝手にふるまうのは、ちょっとおさなすぎる。

彼らも十数年前には、今日の子供たちのように神妙な顔で静かに座っていたんだろうな、とふと思った。

エリとともに、新一年生になった子供たち、これからたくさんのことを感じ、考え、作っていってほしいな。自分自身の心と頭で。そして、学校が、うんと楽しいといいな。

第63回【出会いが生活を変えた】

赤ちゃんが泣いてばかりで・・・

日差しも風も、気持ちがいい。うどんカフェは今、フランスのカフェ風に(?)蛇腹のガラス戸を少し開けて、お客さんにこの季節を楽しんでもらっている。そのせいか、近頃子ども連れの人が増えた。

今日は、助産婦さんが連れだってうどんを食べに来てくれた。いつもお世話になっている豊倉節子さん(豊倉助産院)と山田みどりさん(みどり助産院)だ。そこに、3人組の親子が入ってきたのだが、「あれ?」「あら!」と、それぞれに顔見知りで、積もる話に花が咲いた。

人と人との出会いは、聞いてみると面白い。3人のうちの1人、N子さんは、赤ちゃんが泣いてばかりで困り果て、保健所に相談の電話をかけた。丁度豊倉さんが居合わせて、N子さん宅に来てくれたのだとか。横浜市には「新生児訪問」という制度があり、助産婦さんが出張してくれる。

それから、豊倉さんの助産院で聞かれるお母さんの集まりに参加するようになり、そこで出会う人たちからまた、次々といい出会いがつながった。連れのお二人とも、そうした中で出会ったと言う。

保健所への電話一本が、N子さんの子育て生活を変えたのだ。

安心して駆け込んで

ただ、保健所の指導について『「○ヶ月になったらこうしなさい」と一律に指導されるのがいや』
『赤ちゃんの検診できついことを言われて自信をなくした』などという不満をよく耳にするのも事実。

山田さんも『敬遠されるのよね』と残念そうだ。少子化対策で子育て支援に力を入れているから
『安心して駆け込んでいいのよ』とも。私たちも要望を伝えていかなければ。

今日の再開は、育児がつらくなったら、新しい出会いを求めなさいというお告げかも。災いを福にできるといいね。

第64回【すき間埋める「支援」を】

お母さんの不安

先週登場してもらった、助産婦の豊倉節子さんと山田みどりさん。あのあと幕が上がった第2部は2人の「現代子育て談義」。

豊倉「最近のお母さんは妊婦や育児の月刊誌をよく読んでいるね。自分の子どもが違っていると不安になるみたいよ」

山田「そうね。こういうこともあるのよ、って言うとほっとしたりして」

豊倉「それと、赤ちゃんに振り回される生活がとてもつらそう」

山田「生きていく力が足りないのかな」

豊倉「う〜ん、慣れてないんじゃない?おしんみたいな生活をしたことがあれば平気なんだろうけど」

赤ちゃんに触れたことがない

山田「昔はきょうだいが多くて、大きい子が小さい子の面倒をよくみていた。だから今みたいに赤ちゃんに触れたことがない、なんて人はいなかった」

豊倉「きょうだいが多いから、親が子どもに手をかけなかったでしょ。今は大事に育てられ、自由に生活してきたから、夜中に授乳することすら、つらいと感じるのでは?」

山田「核家族が増えたこともあるね。おじいちゃん、おばあちゃんがいれば余裕ができる」

豊倉「お父さんは仕事が忙しい人が多いからね」

山田「毎日お父さんが帰宅してから赤ちゃんをお風呂にいれるから、赤ちゃんが寝るのが夜中の12時頃になるんですけど、いいんでしょうか、って聞かれたことがあるわよ」

昔と比べて、良くなったこと、悪くなったこと、どちらもある。それらの変化がうまくかみあっていないのかもしれない。「子育て支援」がそのすき間を埋めてくれるといいけれど。いずれ、新しいコミュニティーや家族像、生活スタイルが生まれ、世の中全体が変わったら、きっと子育てがもっと楽しくなるんだろうな。


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著者プロフィール
西井紀代子(キヨ)。当ホームページ・ままメルを運営するママ・チョイス代表。1994年生まれのエリと1997年生まれのシュウヘイの母です。子どもたちが5歳と2歳のときにエッセイの連載を始めました。子どもたちに言わせると「ぜんぜんかまってくれない」面倒見の悪い母。まったくその通り、の私です。