3人目がやってきた!

第15回 臨月の不安(妊娠38週〜39週)

眠れない

草むしり
庭の草むしり。ナツもお手伝い

前駆陣痛(不規則なおなかの痛み)や、おしるし(少量の出血)があったので、そろそろかなと思っていたが、チビスケが生まれる気配はまだない。

出産予定日まであと1週間。またしても夜中に目が覚めた。今夜は南風が強い。雨戸がガタガタと音を立てているが、ナツとアチャはそんな音には構わず、となりの布団で熟睡している。トイレにいったらまた少量の出血があった。おなかもときどき痛む。お風呂に入ったり本を読んだりして時間を過ごす。このまま陣痛になるかもしれないと思いながら布団にもどる。

痛みが規則的になったら、まずトシを起こそう。それから・・・。うーん、動きたくない気分。

自宅で産む? 助産院で産む?

「自宅で産む」とも「助産院で産む」とも、どちらとも決められずにここまで来てしまった。でもトシとの会話や助産院での健診時の助産婦さんとの会話で、なんとなく助産院で産むことになりそうな感じがしていた。それはそれでいいと思っていた。

が、この「動きたくない気分」はなんだろう。このままここで産みたいなあ! これまで自分がどうしたいのかよく分からなかったけど、今のこの気持ちははっきりと自覚できた。

そんなことを思い、あいかわらずガタガタとうるさい雨戸の音を聞きながらいつのまにかまた眠ってしまい、気がつくと朝だった。

夫婦って不思議

その朝、朝食を食べているとトシが言った。
トシ「今日生まれそうだったらどうする?」

私は「どうする?」の意味がよく分からなかったので、返事ができずにいると、トシが続けて言った。

トシ「サイトーさんに来てもらう?」

サイトーさんとはお世話になっている助産婦さんだ。私は、夕べも夜中に目が覚めて雨戸の音がうるさくて眠れなかったこと、お風呂に入ったり本を読んだりしたこと、おなかが痛くてこのまま陣痛になるかもしれないと思ったこと、気づいたら朝だったことは話したが「家で産みたいと思った」という話はしていなかった。だからトシのことばにちょっとびっくりした。

ヨーコ「うん、夕べおなかが痛かったとき、動きたくないと思ったんだ」
トシ「ヨーコが一番幸せな道を選べばいいよ」

これって、家で産んだら?って言ってるのかな。夫婦って不思議だ。ことばにしなくても相手の気持ちが分かるときがあるらしい。

自宅出産とは

自宅出産にするなら、産後に家のことをしてくれる人が必要だ。おばあちゃんに手伝いにきてもらうとか、夫が仕事を休むとか、場合によっては家事手伝いのヘルパーさんをお願いするという方法もある。どのような方法にしてもお母さんと赤ちゃんがゆっくり休める環境を整えておかなければならない。

我が家には、産後にヨーコの母がしばらく手伝いに来てくれることになっているので、その点は安心。あとは私の気持ち次第。

アチャと2人で

登園
アチャ
上/歩いて登園。桜が満開の頃
下/アチャとの貴重な時間

その日の朝、アチャと保育園まで歩いた。桜の季節によく歩いて登園したが、このところ体が重くだるかったので車を使うことが多かった。久しぶりの徒歩での登園。アチャは歩いたり走ったり、立ち止まったりしゃがんだり、お花を摘んだり葉っぱを拾ったり、いつもよりゆっくりと道のりを楽しんでいるようだった。

アチャと2人で歩いて登園するのはこれが最後になるかもしれない。次はチビスケが一緒かもしれないから。

いつもは道草ばかりするアチャを「早く行こう」と急かしていたが、今日はアチャのペースに合わせて歩いた。アチャとの2人の時間が少しでも長く続くように。

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著者プロフィール
著者
根本陽子(ヨーコ)。1997年、初めての子どもを妊娠し、自分の望む出産を求めて情報を集め始める。これがきっかけとなり、「お産情報をまとめる会」(下記参照) のメンバーとなる。助産師さんに介助してもらい、長女は水中で、次女は陸で、3人目は再び水中で出産。長女の出産を機に勤務していた研究所を退職。その後フリーランスで辞典の執筆、英語講師、日本語教師、中学校の国語の講師など「ことば」に関する仕事をいろいろして、現在に至る。家族は、片付け好きで子どもの保育園の送り迎えも引き受ける夫・トシ、お姉ちゃんらしくそこそこしっかり育つナツ(小学5年)、自由奔放に心のおもむくままに育つアチャ・(小学2年)、そして2005年5月に生まれたシュンとの5人家族。(写真は、アチャが赤ちゃんだった頃のヨーコ)
お産情報をまとめる会
わたしのお産サポートノート
神奈川県と東京都町田市の産院情報「わたしのお産」、第二の母子手帳「わたしのお産サポート・ノート」を編集した、お母さんグループ。「サポート・ノート」は自分のこと、おなかの赤ちゃんのこと、医師・助産師との対話などを書きつづりながら妊娠生活を送るための本。ヨーコはここで、自分自身の記録を大公開しつつ、出産に向かう(実際の書き込み欄は小さくて、だれでも簡単に記録できるものです)。