3人目がやってきた!

第17回 いよいよ陣痛がやってきた(妊娠39週)

陣痛、やってこ〜い

鎌倉
予定日6日前
上/お天気に恵まれた5月の土曜。鎌倉はたくさんの人でにぎわっていました
下/神社の階段をえっちらおっちら。陣痛よ、来い来い! 予定日6日前

妊娠39週。出産に向けていよいよカウントダウンだ。できればトシもナツもアチャも、みんながいっしょにいる週末に赤ちゃんを産みたい。

金曜、庭の草むしりをしたけど、陣痛はやってこなかった。
土曜、家族で鎌倉へ出かけた。神社の階段を上り下りしたけど陣痛はやってこなかった。

日曜、午前中は家の掃除。午後、みんなで助産院に医療セットを取りに行き、帰りに温水プールに行った。雨が降り始めてちょっと肌寒かったので私はパスしたかったのだけど アチャ「ママもいっしょに入ろうよ」

うーん、しかたない。もともと泳ぐことは好きだ。アチャのことばに背中を押されて私も入ることにした。人目は多少気になるが、水の中に入ってしまえばこっちのもの。水に入るとふわっと体が軽くなる。トシがナツとアチャの相手をしてくれている間、ゆっくりと泳いだ。気持ちがいい。体だけでなく気持ちもすっきりする。
「やっぱり今度の出産も水の中がいいな」
泳ぎながらそんなことを思った。この日も陣痛はやってこなかった。

おなかが「ぎゅー」

大銀杏
鶴ヶ岡八幡宮にある大銀杏。本当に大きいねえ

そして月曜。五月晴れのさわやかな朝。また新たな一週間の始まりである。今週も頑張るぞー! このところアチャの保育園の送り迎えはトシが担当していたが、今日は私がアチャを保育園に送っていこう。

保育園でお昼寝用の布団にシーツを掛けながら、顔見知りのお母さんたちから声をかけられる。
「どう?」
「うん、もう生まれてほしいんだけど、まだなんだよねえ」

「もう生まれたかと思った」
「うん、陣痛いつでも来いって感じなんだけどねえ」

9時半。保育園から帰って洗濯物を干していると、あれ、ちょっとおなか痛いかも。チビスケのいる丸いおなか全体がぎゅーと痛む。前駆陣痛のときよりもはっきりした痛み。もしかして陣痛が始まったかな?

陣痛なら規則的に痛みが来るはず。痛みの間隔を計ると、12〜13分間隔で来ている。でも間隔にばらつきがあって、痛みも弱い。本物の陣痛だという確信が得られないので、しばらく様子をみることにする。今のうちに買い物を済ませておこう。

チビスケはのんびり屋さん?

買い物から帰り、トイレに行ったら少量の出血あり。おしるしだ。いよいよだと気持ちが高揚してくる。

ひと休み
階段が多くて疲れたかな? アチャとトシ、ちょっと休憩

ナツのときは最初から10分間隔で陣痛がやってきて、そのまま順調に進み7時間で生まれた。アチャのときは破水してすぐに陣痛が始まって、こちらも順調で5時間半で生まれた。この感じでいくとチビスケは陣痛開始から3時間くらいで生まれるのかなと思っていたが、お産はそんなふうに計算どおりにはいかない。チビスケはどうものんびり屋さんのようで、今回の陣痛は、弱くてゆっくりな感じだ。

11時半。弱いながらも規則的に痛みが来ていて、本物だと確信を得た私はトシの職場に電話を入れる。
ヨーコ「始まったよ」
ト シ「生まれそう?」
ヨーコ「まだだけど、10分ちょっとで陣痛が来ているからこのまま進めば午後くらいかな」
ト シ「アチャのお迎えどうしようか」
ヨーコ「一度家に帰ってきてくれる? それからどうするか相談しよう」
ト シ「じゃ、30分くらいで帰るね」

12時。トシ、自転車を飛ばして帰宅。
ト シ「どう? 生まれそう?」

ヨーコ「(陣痛の)間隔が短くならないんだよねえ。痛みも弱いし。思ったより時間かかるかも。ナツは今日は給食を食べて1時半には帰ってくるからそれまでは大丈夫だと思う。とりあえずお昼ごはんでも食べに行こうか」
ト シ「えーっ。大丈夫なの?」
ヨーコ「うん、だっておなかすいてちゃ力でないもん」

ファミレスで陣痛を逃す

串揚げやさんでランチ
小町通りにある串揚げやさんでランチを食べました

近所のファミリーレストランに出かける。トシと2人きりでごはんを食べるなんて久しぶりだ。ゆっくり食事をいただく。子育て中の私たちにとっては何ともぜいたくな時間である。のんびり屋のチビスケに感謝しなくちゃね。

ランチの最中も陣痛はやってくる。陣痛がくると「フー、フー」と深呼吸して痛みを逃す。
ト シ「大丈夫?」
ヨーコ「うん、まだまだ余裕」

食後のコーヒーをいただきながら、本日のこれからの予定について話し合う。
ト シ「それで、どこで産む?」
ヨーコ「昼間だし、家族みんな一緒だから、助産院でいいかな」
ト シ「いいの? 家で産めるの、これが最後の機会かもしれないよ」
ヨーコ「うん、そうなんだけどねえ」

こんなふうに言われると迷う。私が助産院にしようかと言っているのに、トシのほうが家で産みたくなったかな。

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著者プロフィール
著者
根本陽子(ヨーコ)。1997年、初めての子どもを妊娠し、自分の望む出産を求めて情報を集め始める。これがきっかけとなり、「お産情報をまとめる会」(下記参照) のメンバーとなる。助産師さんに介助してもらい、長女は水中で、次女は陸で、3人目は再び水中で出産。長女の出産を機に勤務していた研究所を退職。その後フリーランスで辞典の執筆、英語講師、日本語教師、中学校の国語の講師など「ことば」に関する仕事をいろいろして、現在に至る。家族は、片付け好きで子どもの保育園の送り迎えも引き受ける夫・トシ、お姉ちゃんらしくそこそこしっかり育つナツ(小学5年)、自由奔放に心のおもむくままに育つアチャ・(小学2年)、そして2005年5月に生まれたシュンとの5人家族。(写真は、アチャが赤ちゃんだった頃のヨーコ)
お産情報をまとめる会
わたしのお産サポートノート
神奈川県と東京都町田市の産院情報「わたしのお産」、第二の母子手帳「わたしのお産サポート・ノート」を編集した、お母さんグループ。「サポート・ノート」は自分のこと、おなかの赤ちゃんのこと、医師・助産師との対話などを書きつづりながら妊娠生活を送るための本。ヨーコはここで、自分自身の記録を大公開しつつ、出産に向かう(実際の書き込み欄は小さくて、だれでも簡単に記録できるものです)。