3人目がやってきた!

第2回「つわりが始まった」(妊娠5週)

「しゅっぱつー」「しんこー」

雨上がり
花
上/雨上がりの日曜日。手をつないで仲良くお散歩。
下/庭に咲いたポーチュラカ。5株植えたのだが、この株だけが特別元気。

妊娠が分かった翌週、家族で海に近いリゾートホテルに出かけた。

「家族で」といっても、実のところトシは仕事。このホテルで開かれる会議に参加するためにやってきた。場所がリゾートホテルと聞いて、私たちも便乗して同行したのだ。

ホテルまでは車で2時間。荷物をのせ、家族全員車に乗り込むと、
トシ「しゅっぱつー!」
子どもとヨーコ「しんこー!」
お決まりのセリフでいざ出発。子どもたちも私も久しぶりのお泊り旅行にわくわく。

出発してまもなく、胃の辺りに違和感を感じた。車に酔ったのかな。
子どものころから車酔いに悩まされてきた。大人になってからもときどきこういうことがあるのだが、それにしてもこの感じは久しぶりだ。うん? あれ? もしかして「つわり」?

そう、これが今回のつわりの始まりだった。

これから9カ月も・・・大丈夫?

私のつわりは、24時間、車に酔っているような状態が続く。ナツのときもアチャのときも安定期に入るまでつわりは続き、ある朝、目覚めるとすっきりしている。それでつわりはおしまい。

今、妊娠5週だから、あと2,3ヶ月はつわりとつきあわなければならない。時期が来るのを待つしかない。

さて、ホテル滞在中、トシは仕事なので、昼間のほとんどの時間を子どもたちと私とで過ごさなければならなかった。
普段子どもを保育園に預けて仕事をしていると、子どもが家にいる週末のほうが疲れたりする。子どもと暮らす日々は、気力も体力も必要なのだ。そう思うと、これからの9ヶ月に及ぶ妊娠期間を想像して不安が募る。

仕事も家事も、夫も子どもも、みな大事だけど、妊婦という体が変わっていく中で、それらを全部大事にすることができるだろうか。

体調は万全ではなかったが、ナツもアチャもホテル内にあるプールで泳いだり、近くの公園へ行ったり、海まで散歩したりとなんとか楽しく過ごすことができた。

秋の海でセンチメンタル

ホテルから海までは子どもでも歩ける距離。せっかく近くに泊まっているのだから歩いてみることにした。

空と海と子どもたち
三浦海岸へ行きました。空と海と子どもたち。

ところが、道は細く、くねくねと曲がっていて、なかなか海が見えてこない。
ナツは
「こっちでいいの?」と不安そう。
「大丈夫。道が下っているからこっちで大丈夫だよ」

いくつめかの路地を曲がると目の前に空と海が広がった。子どもたちは久しぶりに見る海に興奮。
「うわー!」と声を上げる。
最初は砂を確かめるように、そのうちザッザッと砂浜を走り回る。

海岸に来る途中に買った中華まんが冷めないうちにおやつの時間にしよう。
「中華まん食べようー!」
子どもたちを呼び戻し、熱々の中華まんを分け合ってかじる。今日みたいに肌寒い日に、海を見ながら中華まんとはなかなか粋かも。

二人並んでおいしそうに食べている娘たちを見ていたら、なんとなくセンチメンタルな気分になった。

来年はもう一人増えるのねえ。

ナツとアチャ、二人の子どもと過ごす今のこの時間がとても大事であるような気がして、ちょっと涙が出そうになったヨーコだった。

前へ 次へ
著者プロフィール
著者
根本陽子(ヨーコ)。1997年、初めての子どもを妊娠し、自分の望む出産を求めて情報を集め始める。これがきっかけとなり、「お産情報をまとめる会」(下記参照) のメンバーとなる。助産師さんに介助してもらい、長女は水中で、次女は陸で、3人目は再び水中で出産。長女の出産を機に勤務していた研究所を退職。その後フリーランスで辞典の執筆、英語講師、日本語教師、中学校の国語の講師など「ことば」に関する仕事をいろいろして、現在に至る。家族は、片付け好きで子どもの保育園の送り迎えも引き受ける夫・トシ、お姉ちゃんらしくそこそこしっかり育つナツ(小学5年)、自由奔放に心のおもむくままに育つアチャ・(小学2年)、そして2005年5月に生まれたシュンとの5人家族。(写真は、アチャが赤ちゃんだった頃のヨーコ)
お産情報をまとめる会
わたしのお産サポートノート
神奈川県と東京都町田市の産院情報「わたしのお産」、第二の母子手帳「わたしのお産サポート・ノート」を編集した、お母さんグループ。「サポート・ノート」は自分のこと、おなかの赤ちゃんのこと、医師・助産師との対話などを書きつづりながら妊娠生活を送るための本。ヨーコはここで、自分自身の記録を大公開しつつ、出産に向かう(実際の書き込み欄は小さくて、だれでも簡単に記録できるものです)。