3人目がやってきた!

第22回  「かわいい」は連鎖するのだ!(生後1週/命名)

7年間眠っていた名前

生後6日目
沐浴
上/生後6日目。しっかりと目を開けるようになった。チビスケ、ママが見えるかな
下/トシ、沐浴の練習

7年前、男の子が生まれたらつけるはずだった名前がある。ナツが女の子だったのでその名前はまだトシと私の心の中にだけある。3人目が男の子らしいと分かり、その名前をつけようと思っていた。でも、本当にそれでいいのかな。ナツとアチャの弟として生まれたチビスケにはもっとふさわしい名前があるのではないか。


我が家では子どもの名前を考えるとき、名づけの本よりも国語辞典が活躍する。仕事柄、家には辞書がたくさんある。チビスケが生まれた日も、陣痛が始まっていた私は布団の上にころがって、陣痛の痛みの合間にその名前にかわる名前がないかと辞書をめくった。


チビスケが生まれたあともトシが産院にくるたびに話題はチビスケの名前のことばかりだった。トシと二人で悩みに悩んで、最後はやっぱり「私たちの家に生まれた最初の男の子だから」とその名前をつけることにした。ナツとアチャにも相談しなきゃね。家族なんだから。

「シュンちゃん」に決定!

12年に1度のお祭り
スリングの中から見物
上/実家のほうで12年に1度のお祭りがありました
下/シュンもハッピを着て、スリングの中から見物

トシ「家族会議を始めるよー」

ナツとアチャとヨーコ「ハーイ!」

居間のテーブルに全員集合。チビスケも私の腕の中で同席。自分の名前が決まるんだもの、気になるよね。

トシ「ママと相談してチビスケの名前は『シュンタロー』にしようと思います。シュンタローがいい人?」

ナツとヨーコ「ハーイ!」

アチャ「・・・」

あれ、アチャは? 場の雰囲気を読んで、こんなふうにちょっとひねくれた行動をとるところがアチャらしい。最後はアチャも納得してめでたく「シュンタロー」に決定! こうしてチビスケは「シュンちゃん」と呼ばれるようになった。

赤ちゃんのいる生活を楽しもう

子ども神輿
山車
上/ナツは子ども神輿をかついだよ
下/アチャは山車を引きました

赤ちゃんのいる生活は思いがけず楽しかった。赤ちゃんってこんなにかわいかったっけ? おっぱいを飲み、寝て、泣いて。そんなシュンがただただ愛おしい。ナツとアチャも暇されあればシュンのそばに行く。「寝ているから静かにね」と言っても指で頬をつついたり抱っこしたりする。とにかくかわいいらしい。シュンをかわいがるナツとアチャの姿を見ていると、ナツやアチャまでかわいく思えてくる。「かわいい」は連鎖するのだ。

初めての子育てのとき、ナツをかわいいと思う気持ちとは別のところで、ナツと2人きりの毎日がつらかった。2人目のときは、ナツがやっと3歳になるころ。ナツもまだ手がかかったし、仕事も忙しく、ばたばたと毎日を暮らしているうちに気がついたらアチャの赤ちゃん時代は終わっていた。そう、赤ちゃんの時期は本当にあっという間に終わってしまう。今のうちに楽しまなくちゃ。今度は、ナツとアチャと一緒にシュンのいる生活を楽しもう。

トシは、シュンのいる生活を「新鮮」と言った。うん、そのことば、ぴったり。3人目なのに赤ちゃんが新鮮というのも変な気もするが、私も同感だった。心に余裕をもって赤ちゃんに接することができるからなのかな。

おねえちゃんたちの、おっぱいとおねしょ

アチャ、跳び箱に乗ってジャンプ!
ナツはリレーの選手
上/保育園の運動会。アチャ、跳び箱に乗ってジャンプ!
下/ナツはリレーの選手。ヨーイ、ドン!

シュンがいるようになってから、ナツはときどき「ナッちゃんもおっぱい飲みたい」と言うようになった。私には「おっぱいはシュンのもの」という気持ちがあり、ナツに吸わせるのは正直気が進まない。でも、ま、本当に飲みたいわけじゃないだろうし、ちょこっと吸わせてやることにした。「飲んでもいいよ」と答えると、ナツは少し恥ずかしそうにおっぱいに口をつけた。それでおしまい。気が済んだらしい。

アチャは毎晩のようにおねしょをするようになった。まだ4歳だからおねしょをしてもおかしくはないけれど、ほとんどしなくなっていたので、環境や気持ちの変化からきたものだろうと推測できた。

ナツの「おっぱい飲みたい」もアチャのおねしょも、2、3ヶ月続いて、いつのまにか、なくなった。

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著者プロフィール
著者
根本陽子(ヨーコ)。1997年、初めての子どもを妊娠し、自分の望む出産を求めて情報を集め始める。これがきっかけとなり、「お産情報をまとめる会」(下記参照) のメンバーとなる。助産師さんに介助してもらい、長女は水中で、次女は陸で、3人目は再び水中で出産。長女の出産を機に勤務していた研究所を退職。その後フリーランスで辞典の執筆、英語講師、日本語教師、中学校の国語の講師など「ことば」に関する仕事をいろいろして、現在に至る。家族は、片付け好きで子どもの保育園の送り迎えも引き受ける夫・トシ、お姉ちゃんらしくそこそこしっかり育つナツ(小学5年)、自由奔放に心のおもむくままに育つアチャ・(小学2年)、そして2005年5月に生まれたシュンとの5人家族。(写真は、アチャが赤ちゃんだった頃のヨーコ)
お産情報をまとめる会
わたしのお産サポートノート
神奈川県と東京都町田市の産院情報「わたしのお産」、第二の母子手帳「わたしのお産サポート・ノート」を編集した、お母さんグループ。「サポート・ノート」は自分のこと、おなかの赤ちゃんのこと、医師・助産師との対話などを書きつづりながら妊娠生活を送るための本。ヨーコはここで、自分自身の記録を大公開しつつ、出産に向かう(実際の書き込み欄は小さくて、だれでも簡単に記録できるものです)。