第26回 子連れでシンガポール旅行<その3>(生後5か月)
バードパークで美しい羽根に見とれる
ホテルを出るときに降っていた激しい雨は、バードパークに着くころには傘がいらないくらいの小雨になっていた。シンガポールでは、こんなふうに突然ザーッと雨が降ることある。これは熱帯に多いスコール。1時間もすればたいてい落ち着くから、慌てずに濡れない場所でのんびり待っていれば大丈夫。
バードパークの入り口では巨大なオウムたちが私たちを出迎えてくれた。赤、緑、黄、青、なんと美しい羽の色! あまりにカラフルなので、オウムが作り物のようにも見えてくる。大きさはゆうに30cmはありそう。ナツとアチャは少し怖かったようだが、鳥たちのほうは人に慣れているようす。パークのスタッフの人は鳥を肩に乗せていたよ。
インコが寄ってくる!
インコの鳥舎では、ナツと私が餌付けに挑戦! 最初は見ているだけだったナツも、ちょっと勇気を出してやってみることに。怖がらずにえさをかざせば、インコが自ら寄ってくる。ナツのカップにも次々とインコがとまった。
ナツ「ママ、できたよ。えさ、食べてるよ」
こわごわとだけど、それでもできたことにナツは満足そうな表情。
パーク内を歩いて回っていると、
ナツとアチャ「つかれた〜」「のどかわいた〜」「おんぶ〜!」「シュンちゃんのベビーカーのりた〜い!」
気温の高いシンガポールは日中かなり暑くなる。プールでのんびり遊ぶのと違い、外を長時間歩くのはナツとアチャにはつらいようだ。ペットボトルを持ち歩き、こまめに水を飲ませるようにした。シュンには、ペンギンの鳥舎の中にあったベンチで、ペンギンたちがスイーッスイーッと泳ぐのを見ながら、おっぱいをあげた。 メインのバードショーは時間が合わず見ることができなかった。次回のお楽しみに取っておこう。
子連れで感じる異文化のやさしさ
最後の夜は、セントーサ島内で開かれるミュージカル・ファウンテンという噴水ショーを見に出かけた。ホテルからは、島内を循環している無料バスで行くことができる。週末でバスは混雑していたけど、子連れの私たちを見て、何人かの人がサッと席を譲ってくれた。さりげない心遣いがうれしい。
バスでのこの小さな出来事は、不思議と私の心に残った。そしてこれまでの他のいくつかの体験とつながった。レストランで食事しているとき、お店で買い物しているとき、店員さんが当たり前のようにシュンを抱っこしてくれたり、ナツやアチャと遊んでくれたりする。最初は「大丈夫かな」と心配に思うけど、慣れてくるとこれがこの国の人たちの人柄というか、人との距離感なのだと分かってくる。
家族だけの子育てはしんどいよ
異文化の中でこういう体験をすると、つい自分の国と比べたくなる。今の日本人は、他人との距離感がありすぎる気がしてくる。ちょっとのやさしさや親切を、日常の中で自然にいろんな人に向けることのできる社会になってほしいなと思う。
子育ては家族だけでやろうと思うととてもしんどい。温かい社会の中で子育てをすることができたなら、親にとってこんなに心強いことはない。異文化に触れると、いろんなことを感じたり考えたりできるね。小さなナツとアチャも、この旅を通じて何か感じたたろうか。
楽しかった日々はあっという間に過ぎ、翌日の早朝、私たちは帰路についた。ナツ、アチャ、またどこか行こうね。シュンも今度行くときはきっとあんよも上手になって、お姉ちゃんたちと一緒に遊べるね。
すっかり景色にとけ込んでいるアチャ |
ホテルの前はプライベートビーチ |
青い空と白い雲がどこまでもどこまでも続く |
私たちも連れてって!
子どもと行く旅は楽しいが、子どもたちが大きくなったら、夫婦2人で世界一周の旅をするというのが、トシと私の夢。
ヨーコ「ヨーロッパにももう一度行ってみたいね」
トシ「いいね。何年後に行けるかな。15年? それとも20年後くらいかな」
20年か・・・。途方もなく先の話のように思えてくる。
この話を聞いていたナツ。
ナツ「ナッちゃんは留守番なの?」
トシ「ナツも一緒に行きたい?」
ナツ「うん、行きたい!」
やっぱり話を聞いていたらしいアチャも現れて、
アチャ「アチャも行きたい!」
トシ「じゃ、ナツとアチャも連れて行ってあげる」
「女の子は大人になってもパパと旅行に行ってくれそう」とトシは内心喜んでいたようだ。夫婦2人で行く旅は、当分先のことになりそうだ。
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