第29回 2006年、それぞれの春(生後10か月)
2年生の「お姉さん気分」
ナツは小学校2年生になった。始業式も無事に終わり、今日からランドセルでの登校。玄関に用意してあるランドセルには、1年生のときに学校で配られた黄色いカバーがかかったままだ。
ヨーコ「ナツ、ランドセルのカバー、つけていくの?」
ナツ 「ううん、それは1年生だけ。もういらないから、はずして」
今朝も友達が迎えに来て、「行ってきまーす!」
この辺りは集団登校がないので、近所の子どもたちが誘い合って一緒に登校する。途中で新1年生たちとも合流して、元気にでかけていった。
昨日、学校から帰ってきたらナツがこんなことを言っていた。
ナツ「1年生が道路に広がって歩いてたら車が来てね、あぶなかったんだよ。それで『はしっこに寄って!』って言ったんだ」
ちょっとしたお姉さん気分らしい。
この時期、我が子を途中まで見送る1年生のお母さんたちの姿も多い。1年前の自分を見ているようだ。
ちょうど1年前の今頃、私も入学したばかりのナツのことが心配で、途中まで送っていこうと靴を履いて外に出たら、
ナツ「ひとりで大丈夫。じゃ、行ってきまーす」
家の前に取り残された私は、1年生にはまだ大きいランドセルを背負って歩いていくナツの後ろ姿を見ながら、いつのまにこんなに成長したんだろうと、うれしいようなさみしいような気持ちになったっけ。ついこの間のことのようなのに、思い出したらなつかしい気持ちでいっぱいになって、胸がキュンとした。
シュンの保育園デビュー
アチャは保育園の4歳児クラスに進級。教室も先生も新しくなって、毎日元気いっぱいに登園している。
そして、10カ月のシュンも、アチャと同じ保育園に入園。新入園児のシュンは、しばらくの間ならし保育。最初は午前中1時間、そのつぎはお昼の給食まで、そのつぎは午後のお昼寝まで、というように少しずつ保育の時間を延ばしていく。
初日の朝、シュンはきっと泣くだろうと思ったが、すんなりと先生に抱かれた。別れ際、シュンは神妙な顔つきでこちらを見ていた。どんな気持ちだったんだろう。心の中で「シュン、頑張れ」と祈った。
1時間後、どきどきしながら迎えに行くと、シュンは先生に抱っこされていた。泣いてはいないけど、ほおには涙のあとが見える。私を見つけると「ママ、ママ」とでも言うように泣き出した。
先生「シュンくん、いい子でしたよ。お友達が泣いていて、もらい泣きしてしまいましたが、それまでは元気に遊んでいました」
泣いてばかりいたのでなく、楽しく遊べていたようでよかった。シュン、よく頑張ったね。疲れたのだろう。家に帰っておっぱいを飲むと、すぐに眠ってしまった。
赤ちゃんの給食
4日目の今日はシュン、給食にチャレンジ。朝はいつもどおり子どもたちを保育園に送り、私はシュンの給食の時間に合わせて再び保育園へ。
0歳児の給食は、赤ちゃんの離乳の進み具合に応じて、一人一人用意してくれる。給食初日は親が付き添い、用意された給食を子どもたちに食べさせながら、硬さ、具材の大きさ、切り方、量が適当かどうかなど、栄養士の先生と相談した。
シュンは用意してもらったごはん、すべて完食。量もちょうどよさそう。これなら保育園にいる間、ママのおっぱいがなくても大丈夫そうだ。
子どもたちがどんなものを食べるのか、どんな環境で食事をしているのかは、子どもを預けるママやパパたちの大きな関心事だと思う。こんなふうに、実際に見ることができると安心するし、「こういうときはどうするのか」「こうしてほしい」など質問や希望も言いやすくなるよね。栄養士の先生ってふだんの保育の中ではなかなか話すことがないので、こういう機会はありがたい。
子どもたちに助けられてるね
ならし保育中はシュンを早めにお迎えに行くのだが、アチャにはそれが不満らしい。もも組(シュンのクラス)の教室を覗いてはシュンを探し、もも組の先生に会うと「シュンちゃん、泣いてない?」「シュンちゃん、寝てる?」「シュンちゃん、帰っちゃった?」と質問攻めにあわせているらしい。 アチャは、弟思いだね。もう少ししたら、園庭で一緒に遊べるようになるよ。
そういえば、アチャが保育園に入園したばかりのときも、ナツがアチャの面倒をよく見てくれたと先生から聞いた。アチャが泣くと先生がナツを呼んでくれて、お姉ちゃんの顔を見るとアチャのご機嫌が直ったらしい。ねえ、トシ、私たち、子どもたちに助けられているね。ナツもアチャも、やさしいお姉ちゃんになってくれてありがとう。
この春、私の仕事も忙しくなりそうな兆しあり。桜の花びらの下からぐんぐん伸びる新緑を見ながら、これから始まる家族それぞれの新しい生活を思い、ドキドキわくわくしている今日この頃である。
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