第36回 子どもと一緒に海を楽しむ
久しぶりの海に、出発!
我が家にプールは欠かせない。夏の間は、自宅の近くにある公営プールに、家族で週に2、3回は行く。オムツをしているシュンは入れないので、今年の夏は私と留守番。そのかわり、庭のビニールプールを楽しんだ。
そんなプール大好き家族の私たちが、思い立って海水浴に出かけることにした。夏休みも終わりに近づいたある日のことだ。
ヨーコ「海って、何を持っていけばいいのかな」
トシ 「シャワーはあるのかな」
プール派の我が家にとって、久しぶりの海。しかも、子連れでの本格的な海水浴は初めてと言ってもいいくらい。不安だらけだったが、まあとにかく行ってみようと、したくをして、出発!
天然の巨大砂場
車で3時間ほど走り、着いたのは北関東にある小さな海水浴場。昔ながらの「海の家」が3軒ばかり並んでいる。そのうちの1軒にお世話になることにした。トシいわく「かなりワイルド」なシャワー室兼更衣室で着替えを済ませ、いよいよ海へ。
ナツとアチャ「つめた〜い!」
砂浜を先に駆けていった二人が、海水に触れて言った。シュンを抱っこして、私も海へ入った。冷たいけれど、気持ちいい! 生ぬるいプールの水とは違う、自然の海の水温が心地よく感じる。しばらくシュンと海を楽しんだあとは、砂浜へ。
持って来たバケツとシャベルで砂の山を作ったり、穴を掘ったり、天然の巨大砂場で砂遊び。シュンは海水をくみに行くのが楽しいようだ。バケツを片手に何度も海のほうへ歩いていく。そのたびに私はシュンを追いかける。波が引くときにシュンの足がすくわれないように、少し緊張しながらシュンの手をぎゅっと握り、シュンと一緒に楽しむ波の感触。波が来るとき、そして引いていくとき、シュンは「キャー!」と喜びの声を上げる。その繰り返しがとても新鮮で、私もシュンと一緒に楽しんだ。
波が私を動かしてる?
アチャもまた、波の感触が楽しかったらしい。波打ち際に立ち、引いていく波に流されないように足を踏ん張って、私を呼ぶ。
アチャ「ママ、見てて〜!」
ヨーコ「な〜に?」
アチャ「アチャ、動いてるでしょ」
ヨーコ「そうだね、動いているように感じるよね」
波が引くときに、自分の足が動いているように感じるのを、私に伝えようとしているのだ。
アチャと私は、足が海の底に届くくらいの、ほんの少し深いほうへも行ってみた。アチャは浮き輪を使って、波に乗ることができた。何度目かに大きな波が来て、アチャは浮き輪ごとひっくり返ってしまった。海水を飲んでしまったらしい。気持ち悪そうなので、うがいをさせようと、海の家のほうへ歩き始めたら、途中で海水を吐き出した。それですっきりしたようだ。何事もなかったかのように、また海へもどって、遊び始めた。
海は、こわい! 気持ち悪い!
海を満喫しているアチャとシュンを横目に、いまいち楽しめていないのがナツ。砂浜にいる小さな虫が「こわい、刺された、痛い」。海も「波がこわい、虫がいる、海草が気持ち悪い」と不満だらけ。結局途中で海の家に引っ込んでしまった。
トシ 「ナツも小さいときにもっと海へ連れてくるんだったね」
ヨーコ「そうだね。でも、プール好きの私たちでも、海を楽しめることがわかったから、また来年も来ようよ」
家に帰ってから、ナツに尋ねてみた。
ヨーコ「今日は何が楽しかった?」
ナツ 「ナッちゃんね、虫に刺されたあと、ちょっとは楽しめるかなと思って、海に入ってみたんだけど、パパがね、ナッちゃんが『こわい』って言っても助けてくれなくて。それに、ナッちゃんは生き物がこわいのに、パパが『ヒトデがいるよ』とか言って、それで楽しくなくなっちゃった」
ヨーコ「そうか、じゃ、こんど行ったときは、ママと海に入ろう!」
ナツ 「うん、そうする」
ヨーコ「ちょっとは楽しかった?」
ナツ 「うん、ヒトデ見つけたよ。取ろうかと思ったけど、別の男の子に取られちゃったんだ」
生き物がこわいというナツだけど、ヒトデを男の子に取られてがっかりした話を聞いて、少し安心した。
パパの反省
この話をあとでトシにしたら、
トシ「そうか、ナツが楽しくなかったのは僕のせいか」
とちょっと反省していた模様。子どもをその気にさせるのって、本当に難しい。
海で遊んでいたとき、シュンがくんだバケツの中の海水を見たら、思っていたよりずっときれいで、びっくりした。私たち、実はけっこう海の近くに住んでいるのだけど、夏は人は多いし、砂浜はごみだらけだし、海の水はあまりきれいじゃないし、と海にはほとんど近寄らなかった。でも、海って、本当はとてもきれいで、楽しいところなんだ。
冬休みに、インドネシアの島へ出かけようかと計画中。またみんなで海を楽しめるといいな。今からわくわくしてきた。
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