第38回 きょうだい
4人きょうだいがいいなあ
トシも私も3人きょうだいだ。トシは男3人兄弟の3番目。6歳と4歳離れた2人のお兄ちゃんたちに、じゃまにされても一緒に遊びたくて、一生懸命あとをついてまわったそうだ。
一方、私は2歳と4歳離れた弟が2人いる。弟たちとは歳が近かったから、小さい頃はいつも一緒に遊んでいた。そのかわりよく弟を泣かせた(笑)。
トシと結婚するとき、子どもが何人ほしいかと改まって話をした記憶はないけれど、たぶん、トシも私も、自然と子どもは3人はほしいと思っていたような気がする。
もし何の心配もなく子どもを産めるのなら、私は4人がいいと思っていた。それも男の子2人、女の子2人。理由は、私自身が、同性のきょうだいが欲しかったから。二人ずつなら恨みっこなしでしょ。だから、ナツとアチャを見ていて、我が子ながら「うらやましい」と感じるときがある。
きょうだいは、成長していく中で、お互いの存在を意識したり、影響し合ったりする。一緒に生活していく中で、遊んだり、けんかしたり、そうやって自分以外の人間と、どう折り合いをつけていくかを、ナツもアチャも、そしてシュンも、日々学んでいるに違いない。
「ママ、もう一回結婚しないの?」
ある日、アチャとお風呂に入っていたときのこと。
アチャ「ママは、パパともう一回結婚しないの?」
ヨーコ「ママはもうパパと結婚しているから、もう一回はしないよ」
アチャ「シュンちゃんがうまれたから、もう一回結婚して、赤ちゃんうまれるんじゃないの?」
なるほど。アチャの頭の中では「結婚(一回)」=「赤ちゃん(一人)」らしい。
それから2、3日たった夜、寝る前の布団の中でのおしゃべりタイムのとき。
アチャ「子どもが3人いるでしょ」
ヨーコ「そうだね。3人だね」
アチャ「もう1人うまれて、もう1人うまれたら、5人だね」
ヨーコ「そうだね」
アチャ「いま3人だから、あと2人うまれて!」(たぶん、産んで!の意味)
ヨーコ「アチャはあと2人赤ちゃんがほしいの?」
アチャ「うん」
そうか。アチャは赤ちゃんがほしいんだ。だから、ママにもう一回パパと結婚してって言いたかったんだね。
シュンは、もう赤ちゃんじゃない
このところ、シュンの成長が目覚しい。生後10か月くらいから一人で階段を上れるようになっていたが、最近降りることもできるようになった。ちょっと目を離すと、2階に上がっていたりしてびっくりする。
それによく食べる。ごはんはお姉ちゃんたちと同じくらいの量を食べるし、野菜なんてお姉ちゃんたちが食べ残した分まで食べてくれる。ナツもアチャも嫌いな野菜があると「はい、シュンちゃん、あげる」とシュンの皿に入れるのだ。今朝はアチャが残したトーストを、気付いたらシュンが食べていて、思わず笑ってしまった。
一人で歩き、物を食べるシュンの姿を見て思う。「シュンがだんだん子どもになっていく」。シュンの成長をうれしいと感じると同時に「もう赤ちゃんじゃないんだなあ」と寂しく思う私がいる。母ごころは複雑なのだ。ふにゃふにゃの赤ちゃんの時期は、ほんとうにあっという間に過ぎてしまう。アチャも、シュンがもう赤ちゃんじゃないと感じているのかもしれない。
次の赤ちゃんが生まれたら・・・
しかし、出産、子育てをめぐる現実は、厳しい。経済的にも、精神的にも、今の世の中、子だくさんはぜいたくと言えるかもしれない。シュンを妊娠したとき、「3人目、いいなあ」と保育園のママ友達が言っていた。もう一人ほしいと思いつつ躊躇しているママたちが案外たくさんいるのかもしれない。
ナツは、次の赤ちゃんが生まれたら、保育園のお迎えを引き受けてくれるそうだ。「次の赤ちゃんって・・・」とつっこみたくなったけど、やめておいた。10歳くらい離れていればありえない話じゃない。
ナツはシュンの面倒をよく見てくれる。大きくなったら保育園の先生になりたいというだけあって、小さい子にやさしい。頼りにしちゃおうかな。「おい、おい」ってトシにつっこまれそうだが(笑)。
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