第39回 秋の運動会
運動会は延期?
10月初めの3連休の土曜は、小学校の運動会の予定だった。ところが週末に向けて台風が近づいていた。金曜は朝から大荒れの天気で、外はものすごい雨と風。カッパに長靴姿で登校するナツを、明日に控えた運動会を気にしながら送り出す。どうなることやら・・・
お昼すぎ、田舎からオバーチャンが到着。孫の運動会を見ようと新幹線に乗ってわざわざやってきてくれたのだ。しばらくしてナツも帰宅。いつものようにランドセルを開けて、学校からのお便りを出した。
ナツ 「はい、お手紙。運動会は日曜だって」
ヨーコ「え〜。もう決まったの?」
渡されたのは、運動会延期のお知らせのプリント。ナツの通う小学校は、全校生徒1200人の大規模校。土曜の朝には雨はやむと天気予報では言っていたけど、雨の上がり具合では準備にも支障をきたしかねない。早めに決断を下したのだろう。
こちらとしてはお弁当の準備もあるし、延期と分かっていればそのほうがいい。が、ほっとしたような、がっかりしたような複雑な気分。ナツ本人は、いたって普通。運動会を前に、ナツよりも私のほうが緊張しているのかもしれない。
お弁当のおかずはリクエストで
日曜は、朝から晴天。シュンをオバーチャンにみてもらい、私はお弁当作りに精を出す。保育園も小学校も普段は給食。運動会や遠足のときくらいしかお弁当を作らない私にとって、弁当作りは大イベント。気合が入る。
メニューは、サケとおかかのおにぎり、鳥のから揚げ、卵焼き、ポテトサラダ、にんじんといんげんの豚肉巻き、デザートはリンゴと梨。特段変わったメニューではないが、ナツのリクエストに答えて作った。
トシは、ナツが小学生になって、小学校のお父さんたちでつくる「おやじの会」に入会した。運動会当日は、会の名前入りの腕章を身につけ、朝から学校内外をパトロールすることになっている。朝7時前、トシは一足先に小学校へと向かった。
ナツ「パパはおやじの会だよね」
トシ「そう、パパはおやじ」
と、漫才のような掛け合い。ナツは、照れながらも内心うれしそうだ。パパが自分や学校のために頑張ってくれていることを実感しているのだと思う。
運動会は、青い空と暑いくらいの陽気の中、無事終了。
ナツ 「徒競走で1位になったら、パパに欲しいものを買ってもらうって約束したんだ」
ヨーコ「1位になってよかったね。頑張ったね」
ナツ 「100円ショップで『2こ』買ってもらうんだ」
いったい何を買わされるかと思いきや、100円ショップというところが、ちょっとかわいい。ナツ、お疲れ様。
突っ伏して泣いたシュン
さて、次の土曜、今度は保育園の運動会。今春入園したシュンにとっては初めての運動会だ。2日前に行われたリハーサルでは「上手にできましたよ」と先生が言っていたけど、本番は大勢の観客がいる。ちょっと心配。
シュンの最初の種目は、マットで作った小さな山を登って、ゴールするというもの。スタートはママと一緒。
先生「つぎのお友達は、ねもとシュンく〜ん!」
いつもなら「ハーイ」とばかりに手を挙げるシュンだが、私にしがみついて無反応。う〜ん、だめかもと思いながら、先生の「スタート」の声にあわせて、一応お山の前にシュンをおろしてみる。が、シュンはマットの上に突っ伏して泣き始めた。抱き上げて、私と一緒にゴール。ゴールでお土産のお砂場セットをもらうと、機嫌が直ったシュンだった。
シュンより大きいクラスの子でも、いつもと違う様子に泣いてしまう子がいる。保育園の運動会は「うまくできなくてもいい。そこにいるだけで十分よ」という雰囲気なのがいい。
「花火」は大成功
アチャは、21人クラス全員で「バルーン」に挑戦。丸い大きな布をみんなで持って、おうち、冠、帽子、タコなど、いろいろなものを形づくる。
しめくくりは一番難しい「花火」。バルーンの真ん中に花火の代わりとなるボールを置き、タイミングよく空に飛ばす。練習ではなかなかうまくいかなくて、毎日のように練習していたようだ。運動会前、しばらくは「今日も失敗だった」「今日は成功したよ」と花火の練習の結果報告が日課となっていた。
本番では大成功。小さかった子たちが、お友達と協力してこんなことができるようになったんだ。私だけでなく、トシも、そして他の子のパパもママもきっと感動したに違いない。
子どもたちのそれぞれの姿を見ることのできた、楽しい初秋であった。
アチャ、両手を広げてバランスをとりながら平均台を渡ります |
バルーンの演技。これは「おうち」。子どもたちはただいまおうちの中 |
保護者が出場するクラス対抗ムカデリレー。トシが出場したアチャのクラスが優勝したよ
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