第43回 3人きょうだいの真ん中
お友達を家に呼びたい
「真ん中の子に一番、目をかけてやるように」というようなことを何度か言われたことがある。
子どもが3人いると、どうしても真ん中の子は一番ほったらかしになってしまうということらしい。下の子は物理的に手がかかる。上の子は、親として、子育てをする上で初めて経験することばかりだから、こちらも真剣に向き合わざるを得ない。真ん中の子は、下の子ほど手はかからないし、上の子で経験済みのことが多いから、何となく対処できてしまうのかもしれない。
我が家の真ん中の子は、アチャ、5歳。最近、保育園のお友達を家に呼びたいと言うようになった。
平日は夕方まで保育園なので、家に呼ぶとなると週末。でも、土日勤務のあるパパやママもいるし、我が家のようにたまった家事や用事を週末に一気に片付ける家もあるだろうし、なかなか気軽に声をかけることができない。
結局、いつも遊びに来るのは、小学生のナツの友達ばかり。最初はアチャも一緒に遊んでいるが、少しルールの難しい遊びになったりすると、とたんにのけ者になってしまう。アチャが3歳年上の子たちと遊ぶのは、なかなか難しいのだ。
「おまめ」ルール
私が子どものころは、学校から帰ると近所の子と遊ぶのが当たり前だった。学年が2つ3つ違うくらいの子なら、平気で一緒に遊んでいたし、小さい弟や妹たちが一緒のときはその子を「おまめ」と呼んで、おまめの子のために特別ルールを作って一緒に遊んだ(トシの育った地域では「ひよこ」と呼んでいたそうだ。呼び方は違っても、どこの地方にも同じ知恵があったんだね)。
特別ルールと言ったって、難しいものではない。「おまめ」の子は、鬼ごっこだったら、つかまっても鬼にならなくていいとか、長縄跳びだったら、引っかかっても縄持ちにならなくていいとか、簡単なルール。
だが、そのルールのおかげでみんなで仲良く遊べた気がするし、そのことに対して誰も文句を言わなかった。異年齢で遊ぶことに慣れていない今どきの子たちだと「ずる〜い」と言うかもしれないが。
ナツもついこの間まで、この「おまめルール」を知らなくて、私のほうが驚いた。遊びの中で自然に大きい子から小さい子に伝えられていたことが、伝わらなくなってきているんだなと感じる。
アチャのおうちオープンハウス
師走のある土曜、ナツとトシは、ナツの小学校で開催される「ギョウザ作りパーティー」に2人で参加するため、朝から1日出かける予定になっていた。そこで、思いついた。その日にアチャの友達を家に呼んであげよう。題して「アチャのおうちオープンハウス」。保育園のアチャのクラスのママたちに声をかけたら、4家族が来てくれることになった。
土曜の朝、ナツとトシを見送り、まずは家の掃除。アチャは昨夜からウキウキ状態である。いつもならトシか私のどちらかが掃除をして、手の空いているほうがシュンをみるのだが、今日はシュンの面倒をアチャに頼む。
ヨーコ「アチャのお友達が来るまでにお家をきれいにしようね。ママはお掃除するから、アチャはシュンと遊んでてね」
アチャ「うん、わかった。シュンちゃん、ねえねえ(お姉ちゃんの意味)と一緒にあそぼうね」
ナツのいない今日は、アチャが我が家の一番のお姉ちゃん。そしてナツの友達でなくて、自分の友達が遊びに来てくれるとあって、アチャはとても張り切っているのだ。アチャがシュンの面倒をみてくれたおかげで、掃除も無事完了。
子どもも親も、それぞれ仲良く
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お昼ごろから、お友達が一人、二人とやってきて、子どもたちはあいさつもそこそこに、すぐに遊び始めた。毎日保育園で一緒に生活している友達同士だから、お互いのこともよく分かっているのだろうか。ときどき遊んでいる部屋をのぞきに行くが、トラブルはほとんどなく、そのときそのときで誰かがうまく場を仕切っている。
シュンもときどき仲間に入れてもらって遊んだ。シュンも同じ保育園に通っているから、クラスは違ってもみなシュンのことを知っているのだ。自分よりも小さなシュンの世話を焼きたがる子もいる。ナツとアチャ以外のお兄ちゃんやお姉ちゃんと遊べて、シュンにとっても刺激的な楽しい時間だったに違いない。
その間、私たち大人は居間でお茶。保護者同士は、朝夕子どもの送迎時に顔は合わせるものの、時間に追われているのでゆっくり話す機会がない。私たち親も、子どものことや自分のこと、いろいろな話をして、仲良くなることができた。
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モーハウスの穴あきシャツとモーブラ。おなかを出さなくて済むので、夜間の授乳も寒くない |
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寝室にはオイルヒーター。空気を汚さず乾燥もしないので赤ちゃんにやさしい。電気代は高めだけど、輻射熱のやわらかい暖かさは快適で、手放せません |
その子だけの「ちょっと特別」
夕方、ナツとトシがたくさんのギョウザをお土産に、帰ってきた。ちょうど小腹もすいてきたところ。ギョーザをつまみに一杯やりましょうか。ということで、飲み物をビールに替えて、アチャのおうちオープンハウスはカフェからバーへと様変わり。宴は7時すぎまで続いた。子どもも大人も楽しめた、そしてアチャにとってはちょっと特別の1日であった。
子どもが3人いれば3人、どの子も同じようにかわいくて、同じように愛情をかけているつもり。でも年齢が違うのだから、何でも一緒にしようと思うとうまくいかないことがある。そういうときは、思い切ってその子だけの「ちょっと特別」を用意してあげたらどうだろう。結果的にはそれぞれの子にとっての「ちょっと特別」になるのかもしれない。
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