第55回 アチャ、卒園おめでとう
■♪いつのことだか 思い出してごらん
アチャが6年間通った保育園を卒園した。卒園式の日、天気予報は「雨」だったけれど、朝出かけるときは曇り。このまま降らないでくれるといいな。そんなことを思って、家を出た。
卒園式の前日、夕方お迎えに行ったら、アチャのクラスはまだ式の練習をしているらしく、部屋のドアが閉じられたままだった。しばらく廊下で待っていると、隣の年中さん(4歳児)の部屋から歌が聞こえてきた。
♪いつのことだか 思い出してごらん
あんなこと こんなこと あったでしょ〜♪
春夏秋冬、それぞれの季節の出来事を思い出して、最後に
♪もうすぐ みんなは 1年生♪
で終わる、卒園の定番とも言える歌「思い出のアルバム」。
庭の小桃の花が咲き始めまし |
昨年咲いた球根、掘らずにそのままにしておいたら、今年も黄色いきれいな花を咲かせてくれました |
私にとっても「卒園式」なのだ
聞きながら、涙が出てきた。
暑い夏も、寒い冬も、雨の日も、風の日も、「行きたくない」と駄々をこねた朝も、お弁当の入ったリュックを背負ってうきうきしていた朝も、毎日毎日通った保育園。最初はナツと一緒に、ナツが小学生になると、アチャ1人で、シュンが入園すると、今度はシュンと通った保育園。
卒園式で、園長先生がこんなことを言った。
園長「6年間、通ってくれた子は、保護者の方も6年間通ってくださったということになります」
そうか、トシも私も、アチャと一緒に6年間通ったんだ。だからトシにとっても私にとっても「卒園式」なのだ。トシも私も、涙涙の卒園式であった。午後から降りだした雨は、卒園を祝う涙の雨だったのかもしれない。
アチャとシュンが保育園で作ってきました |
「おにはそと〜」シュンの豆をまく姿もなかなか様になっています |
アチャの様子がおかしい
卒園式の1ヶ月くらい前にこんなことがあった。
その日のアチャは、夕方から様子がおかしかった。ぼーっとしていたかと思うと、床にごろごろと寝ころがったりしている。思い出してみると、口数もいつもより少なかったかもしれない。何度か声をかけたことを覚えている。
ヨーコ「アチャ、どうかした?」
アチャ「ううん、何でもない」
そのたびに、軽く(そう、それはとても上手に)否定されたので、そうかと思ってしまった。
この冬は関東でも何度か雪が積もりました。降り続く雪の中、大はしゃぎのナツとアチャ |
ヨーコ「シュンもおそと行く?」シュン「ううん」窓ごしにお姉ちゃんたちを眺めて楽しんでいました |
「言いたくない」
夜、布団に入って、さあ寝るよという段になって、アチャが急にぽろぽろと涙をこぼした。
ヨーコ「アチャ、どうしたの?」
アチャ「言いたくない」
言いたくない、ってどういうことだろう。恥ずかしいことか、それとも隠しごとか? 努めてやさしく話しかける。
ヨーコ「そうか、言いたくないの。でもママにお話してごらん」
アチャ「あたま、いたい」
熱を測ると38.5度。アチャが熱を出すのは珍しい。寒い日が続いていたから、風邪でも引いたのだろう。
先生との約束
ヨーコ「どうして言いたくなかったの?」
アチャ「やくそくしたから」
ヨーコ「約束?」
アチャ「先生と風邪引かないようにって約束したから」
お茶を飲ませて、体を冷やしてやると、少し楽になったのか、すぐに寝息を立て始めた。
アチャは、頭が痛い=風邪ひいた=先生との約束をやぶることになる
→だから、ママに言いたくない。
ということだったようだ。
卒園前には、発表会、卒園遠足、楽しみにしている行事がまだたくさんある。だからお休みせずに元気に登園できるように、風邪を引かないように気をつけようという意味の先生の言葉だったのだと思う。アチャは、先生との約束を大事に思い、その約束を守りたかったのだ。
心も体もお姉さんになった
アチャらしい、といえばらしい。けなげだし、かわいいし、素直だし。
でも、具合が悪いときは、ちゃんと話してほしい。約束をやぶったことにはならないよ。どこか痛いとか、気持ちが悪いとか、なにか変だと思ったらちゃんと教えてほしい。そうアチャに伝えると「わかった」と言った。アチャがとってもお姉さんに感じられた。
心も体も大きく大きく成長したアチャ。6年間元気に保育園に通ってくれてありがとう。アチャが保育園で元気に過ごしてくれたおかげで、パパとママは毎日一生懸命お仕事を頑張ることができました。
卒園おめでとう。元気な1年生になってください。
ナツ、友だちに誘われて初めてのスキー。そこそこ滑れたらしく「また行きたい。誕生日プレゼントのかわりに」ということで、後日アチャとトシと3人で新幹線でガーラ湯沢に行きました |
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