第57回 子育てのファースト・ステージ
3歳になったら「子ども」?
私は子育ての第一ステージは「3歳まで」と思っている。
ナツが3歳になるときに、妹のアチャが生まれた。
3歳のナツは「お姉ちゃん」になった。赤ちゃんのアチャと、3歳のナツ。
たまたまナツがお姉ちゃんになったのが3歳だった、というだけのことかもしれないが、自分では泣くこととおっぱいを飲むことしかできないアチャのとなりにいるナツは、赤ちゃんでなく正真正銘の「子ども」であった。
だから、アチャも3歳になれば楽になると思って子育てをした。
走る子を追いかけるのに、毎日必死だった
ところが、アチャは3歳になっても手がかかった。一向に楽になりそうな予兆さえ見えなかった。
あれ? 「3歳になれば楽になる」というのは、私の単なる思い込みだったのか?
もちろん、個性もある。
アチャはよく走る子だった。気づくと、どちらかへ走っていく。それを追いかけるのに毎日必死だった。よく迷子にもなった。これが永遠に続くのかとげっそりした。
でも、子どもはちゃんと成長している。いつのまにか、迷子にならなくなった。
最近は、
アチャ「迷子になっても、おうちの電話番号言えるから大丈夫」と言っている。
アチャが3歳の時には、想像できなかった今が、確かにここにある。
「やだやだ星人じゃないもん」
末っ子のシュンが、ついに3歳になった。第一ステージの終了である。
できれば、シュンが生まれたあの日にまたもどって、もう一回子育てを楽しみたいなあと思ったりもする。本当に楽しい3年間だった。シュン、生まれてきてくれてありがとう。
と、感慨に浸っている間もなく、すでに子育ては「第二ステージ」突入である。
3歳になったシュンは、言葉での意思表示がだいぶできるようになり、自己主張をする。
朝、
ヨーコ「ごはん、食べよう」
と言うと、
シュン「やだ。たべない」
食べ終わって、
ヨーコ「保育園、行くよ」
シュン「やだ。いかない」
夜は夜で、歯を磨こうと誘うと「はみがき、やだ」、もう寝る時間だよと言うと「やだ。ねない」。
あんまり「やだ、やだ」を連発するときはこう言う。
ヨーコ「あ〜あ、シュンちゃん、『やだやだ星人』になっちゃったよ」
シュン「シュンちゃん、やだやだ星人じゃないもん」
と怒る。
夕食前に町を散策。この道を登っていくと、伊豆熱川駅があります |
シュンは「シュンちゃんつかれちゃった」といつもの台詞で、パパに肩車 |
ナツとアチャも、ぴったりサイズの浴衣を用意してもらってご満悦 |
「あれはうそ泣きだったに違いない(笑)」
夕べは布団に入ってからも全く寝ようとせず、大騒ぎ。「寝なさい」と叱るのはいつもは私の役目なのだが、今回はついに、普段は優しいパパ、トシの出番となった。
トシ「寝ない子は、おそとに行きなさい」
シュン「やだ」
トシはシュンを連れて、玄関の外へ。シュンの泣き声が聞こえて、しばらくすると、寝室にもどってきて、やっと眠りについた。
今朝、トシが「シュン、おかしいんだよ」と言って、昨晩のことを笑いながら話してくれた。
トシ「シュンを抱っこして外へ出て、(庭に置いてある)ベンチに座らせたんだ。『寝ない子はここにいなさい』って言って、家の中に入るふりをしたら、シュン、ビービー泣いた。もどって、シュンに『寝る?』って聞いたら『ねる』って答えたから、抱っこして家の中に入ろうとしたら、シュン『ああ、よかった』だって」
トシ「きっとあれはうそ泣きだったに違いない(笑)」
恐るべき、3歳。子育ての第二ステージは、まだまだ始まったばかりである。
これから電車に乗って帰ります。子どもたちは3人とも電車の中で熟睡でした |
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