第8回 腰痛のおかげ?中学生と妊娠談義(妊娠16週〜17週)
よちよちとトイレに
さて、ぎっくり腰(ぎっくりおしり)になってしまった妊娠5ヶ月の私。
一歩も家の外へ出ず、安静の生活。とにかく何をするにもおしりが痛い。布団に寝ていても、寝返りをうつたびにおしりが痛いから、布団の中でじっとしているしかない。
トイレに行くにも、おしりをさすりながらよちよちとやっと移動している状態。便座に座るのも立ち上がるのも一苦労。ちょっとおしりに力が入ると「いたたっっ!」。ああ、我が家のトイレにも手すりがほしい。
2、3日安静にしたらやっと少し動く気になったので、マッサージの先生に診てもらうことにした。そしたら「鍼(はり)のほうがいいかもしれない」ということで、鍼治療をすることになった。鍼は初めてなので、どんなものなのかちょっとどきどき。
まぬけな格好!
おしりが痛いと症状を告げると、まず先生が触診。先生が患部を触りながら私に痛いところを確かめる。すると、痛みはおしりだけでなく、腰から太ももにまで続いている。腰からおしり、太ももに続く神経が圧迫されておこる神経痛だそうだ。
痛いほうの左側に鍼をうってもらうことになった。
鍼灸師さん「おしり、出してもらいますねえ」
体の左を上にして、ベッドに横向きに寝る。ズボンを下げて、左のおしりを半分ぺろっと出す。他の人がみたらかなりまぬけな格好だったに違いない。
鍼治療自体は、思ったほど痛くなかった。ときどき「ぴりっ」とするが、チクっという痛さではないのでそれほど嫌な感じではないのだ。鍼をうったあたりの体がほんわか温かくなった感じがして、気持ちよかった。
このあとも1、2週間おきに鍼の先生のところに通った。
中学生たちの反応は?
翌週からは中学校の仕事に出勤。私が教えるクラスの担任の先生が、クラスの生徒たちに私の妊娠のことを話してくださったそうだ。
おなかも大きくなってきたし、そろそろ生徒たちにも話そうかな、でもどんなふうに話したらいいだろうか、と思っていたところだったのでちょうどよかった。
教室は3階。階段の上り下りがつらいので、休み時間に職員室へもどるのをやめ、直接次のクラスへ移動するようにしたら、授業の前に生徒たちと雑談する時間ができた。
教室に入ると生徒たちがわーっと教卓を囲んで、しばしの「妊娠談義」。
「先生も旦那さんとそういうことするんだ」
中学生の反応は様々。女の子の反応は素直というかストレートだ。
「先生、大丈夫? 荷物もつよ」
「先生、おなか痛い?」
「いま何ヶ月?」「いつうまれるの?」
「赤ちゃんは男の子? 女の子?」
「先生、おなか大きくなったね」
私の体を気遣ってくれたり、妊娠や妊婦に対する興味が見られたりする。
女子生徒「先生も旦那さんとそういうことするんだ。うふふ!」
ヨーコ「そうよ、ラブラブだからね(笑)」
と笑ってさらっと返答できたときは、この一年間で私もだいぶ成長したぞと心の中でほくそ笑んだ。
男の子たちは・・・
男の子はあまりこの話題に触れない傾向にあるのだが、ある男子生徒は
「先生、あと何万年したら生まれるの?」
「先生のおなかにパンチしたらどうなる?」
とひねくれた質問をしてくる。彼なりの興味の示し方なのだろう。
「あと5ヶ月くらいでうまれるよ」
「パンチしたら生まれてしまうかもしれない。でも今生まれると赤ちゃんが小さすぎて生きていけないから困るよ」
ときちんと事実を伝えるようにした。「ふーん」彼は納得してくれたようだった。
遅ればせながら「安定期」に
おしりの痛みはなかなかすっきりなくならず、一時はほんとうにこのままお産になってしまうのではないかと心配したが、徐々に快方に向かい、痛みが気にならなくなったころには妊娠7ヶ月に入っていた。
ベルビーベルトを腰に巻き、遅ればせながらやってきた「安定期」を満喫している今日この頃である。
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