3人目がやってきた!

第32回 子どもと暮らす幸せ

子どもの適応力ってすごいなあ

公民館が開催する「さつまいも植え」。ナツとアチャと参加しました
青虫発見
草むらに青虫発見。どんなちょうちょうになるのかな
苗を1本1本植えていきます
ナツ、教わったように、苗を1本1本植えていきます
植え終わった畑
植え終わった畑。7月に草むしりとつる上げをして、9月に収穫の予定。楽しみだね

雨続きの5月、久しぶりに青空が広がり、さわやかな風が吹いた日、夕方保育園のお迎えからもどって、家の前でふと空を見上げて思った。シュンを産んだ日の空もこんなふうに青かったなあ。あれからもうすぐ1年になるんだ。

春から通い始めた保育園に、シュンは毎日元気に登園している。4月のうちは、毎朝、涙涙のお別れをしていたが、今では先生に抱っこしてもらいたくて自分から手を伸ばす。

入園前、シュンは寝るとき、おっぱいを飲みながら寝つくことを習慣にしていた。(今でも家ではそうだけど…)だからおっぱいのない保育園では、昼寝が苦手だった。布団の上で先生が背中をやさしくトントンしてくれても、なかなか眠りにつくことができない。眠ったとしても眠りが浅いので、すぐに目が覚めてしまう。

夕方お迎えにいくころには、1日の緊張と睡魔がピークに達して、疲れてきって眠ってしまっていたり、泣きながら先生に抱っこされていたり、とそんな日々だった。お昼寝がきちんとできるようになると一安心なのだけど。

そんな心配事も、5月に入り、気づいたらいつの間にか、なくなっていた。園でもしっかりとお昼寝ができるようになり、夕方の昼寝もしなくなった。子どもの適応力ってすごいなあ。感心してしまう。シュン、よく頑張ったね。

泣いてばかりだったシュンを抱っこし続けてくれた保育園の先生、シュンが熱を出したときに駆けつけてくれたおばあちゃん。たくさんの人の助けがあってここまできた。頑張ったシュンに、そして子育てを支えてくれているすべての人にありがとうと伝えたい。

誕生日の前夜。シュンが歩いた!

シュンの誕生日の前夜。ナツとアチャはすでに就寝。たまたまシュンとトシと私の3人が同じ部屋でくつろいでいた。

お出かけ
いいお天気の休日。子どもたちと出かけることにしました。ナツ「ベビーカーは私が押すね」

ヨーコ「シュンは誕生日までに歩かなかったね。ナツとアチャは歩き始めるのが早かったけど」
ト   シ「シュンはシュンのペースでいいよ。ねえ、シュン!」

シュンはそんな父と母の会話を聞いていたのだろうか。しばらくして、シュンが私のひざにつかまって立ったかと思うと、手を離し、1歩、2歩、歩いた。

シュンが歩いた! シュン、歩けたね。すごいね。トシと私は、替わる替わるシュンを抱っこして、喜びを分かち合った。この瞬間をトシと共有できたことがうれしかった。そして、シュンを愛おしいと思った。とても幸せな気持ちで満たされた。

助産院からの電報

お風呂上り
アチャ、風呂上り、気づいたら寝てました。2階の布団まで運ぶのが大変でした。いつのまにこんなに大きくなったのかしら

子どもと暮らす日々は、決して楽ではないけれど、日々の小さな出来事が、ときにこんなふうに大きな幸せをもたらしてくれる。これからもずっとずっと、私たちはたくさんの時間を共に過ごし、子どもと暮らす幸せを幾度も味わえるに違いない。

翌日、自宅で仕事をしているとインターホンが鳴った。電報の配達だった。電報にはこう書かれていた。
「シュンくん、1歳のお誕生日、おめでとうございます。 助産院より」

シュンを産んだ助産院から届いたものだった。妊娠、出産、そしてその後の子どもの成長を一緒に喜び、子育てを支えてくれる人たちがここにもいる。この助産院で3人の子どもを産んだことは私の一生の宝だ。

「シュンを産んだ日」という大切な日

ナツとアチャ
青い空と、流れる川と、ナツとアチャ

子どもを産んでから、私は「誕生日」についての考え方が少し変わった。というか、別のとらえ方をするようになった。

子どもにとって、誕生日は「自分が生まれた日」だけど、同時に母親にとっては「子どもを産んだ日」でもあるのだ。自分の誕生日よりも、子どもの誕生日、つまり、子どもを産んだ日のほうが、私にとっては意味のある日だと思うようになった。だから今日は私にとって「シュンを産んだ日」という大切な日。

電報はメロディー付きのものだった。ボタンを押してみると「ハッピーバースデー」の音楽が流れてきた。音楽を聴きながら、私自身が「シュンを産んだ日、おめでとう」と言ってもらっているようなうれしい気持ちになった。

うどんカフェに行きました

手づかみで夢中になって食べるシュン お昼寝タイム ツーショット
手づかみで夢中になって食べるシュン。赤ちゃんにもおいしいものは分かるのね
たらふく食べて、お昼寝タイム。この間に私はコーヒーいただいちゃおうっと
ごちそうさま。帰りがけ、看板ママのキヨちゃんと
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著者プロフィール
著者
根本陽子(ヨーコ)。1997年、初めての子どもを妊娠し、自分の望む出産を求めて情報を集め始める。これがきっかけとなり、「お産情報をまとめる会」(下記参照) のメンバーとなる。助産師さんに介助してもらい、長女は水中で、次女は陸で、3人目は再び水中で出産。長女の出産を機に勤務していた研究所を退職。その後フリーランスで辞典の執筆、英語講師、日本語教師、中学校の国語の講師など「ことば」に関する仕事をいろいろして、現在に至る。家族は、片付け好きで子どもの保育園の送り迎えも引き受ける夫・トシ、お姉ちゃんらしくそこそこしっかり育つナツ(小学5年)、自由奔放に心のおもむくままに育つアチャ・(小学2年)、そして2005年5月に生まれたシュンとの5人家族。(写真は、アチャが赤ちゃんだった頃のヨーコ)
お産情報をまとめる会
わたしのお産サポートノート
神奈川県と東京都町田市の産院情報「わたしのお産」、第二の母子手帳「わたしのお産サポート・ノート」を編集した、お母さんグループ。「サポート・ノート」は自分のこと、おなかの赤ちゃんのこと、医師・助産師との対話などを書きつづりながら妊娠生活を送るための本。ヨーコはここで、自分自身の記録を大公開しつつ、出産に向かう(実際の書き込み欄は小さくて、だれでも簡単に記録できるものです)。