第32回 子どもと暮らす幸せ
子どもの適応力ってすごいなあ
雨続きの5月、久しぶりに青空が広がり、さわやかな風が吹いた日、夕方保育園のお迎えからもどって、家の前でふと空を見上げて思った。シュンを産んだ日の空もこんなふうに青かったなあ。あれからもうすぐ1年になるんだ。
春から通い始めた保育園に、シュンは毎日元気に登園している。4月のうちは、毎朝、涙涙のお別れをしていたが、今では先生に抱っこしてもらいたくて自分から手を伸ばす。
入園前、シュンは寝るとき、おっぱいを飲みながら寝つくことを習慣にしていた。(今でも家ではそうだけど…)だからおっぱいのない保育園では、昼寝が苦手だった。布団の上で先生が背中をやさしくトントンしてくれても、なかなか眠りにつくことができない。眠ったとしても眠りが浅いので、すぐに目が覚めてしまう。
夕方お迎えにいくころには、1日の緊張と睡魔がピークに達して、疲れてきって眠ってしまっていたり、泣きながら先生に抱っこされていたり、とそんな日々だった。お昼寝がきちんとできるようになると一安心なのだけど。
そんな心配事も、5月に入り、気づいたらいつの間にか、なくなっていた。園でもしっかりとお昼寝ができるようになり、夕方の昼寝もしなくなった。子どもの適応力ってすごいなあ。感心してしまう。シュン、よく頑張ったね。
泣いてばかりだったシュンを抱っこし続けてくれた保育園の先生、シュンが熱を出したときに駆けつけてくれたおばあちゃん。たくさんの人の助けがあってここまできた。頑張ったシュンに、そして子育てを支えてくれているすべての人にありがとうと伝えたい。
誕生日の前夜。シュンが歩いた!
シュンの誕生日の前夜。ナツとアチャはすでに就寝。たまたまシュンとトシと私の3人が同じ部屋でくつろいでいた。
ヨーコ「シュンは誕生日までに歩かなかったね。ナツとアチャは歩き始めるのが早かったけど」
ト シ「シュンはシュンのペースでいいよ。ねえ、シュン!」
シュンはそんな父と母の会話を聞いていたのだろうか。しばらくして、シュンが私のひざにつかまって立ったかと思うと、手を離し、1歩、2歩、歩いた。
シュンが歩いた! シュン、歩けたね。すごいね。トシと私は、替わる替わるシュンを抱っこして、喜びを分かち合った。この瞬間をトシと共有できたことがうれしかった。そして、シュンを愛おしいと思った。とても幸せな気持ちで満たされた。
助産院からの電報
子どもと暮らす日々は、決して楽ではないけれど、日々の小さな出来事が、ときにこんなふうに大きな幸せをもたらしてくれる。これからもずっとずっと、私たちはたくさんの時間を共に過ごし、子どもと暮らす幸せを幾度も味わえるに違いない。
翌日、自宅で仕事をしているとインターホンが鳴った。電報の配達だった。電報にはこう書かれていた。
「シュンくん、1歳のお誕生日、おめでとうございます。 助産院より」
シュンを産んだ助産院から届いたものだった。妊娠、出産、そしてその後の子どもの成長を一緒に喜び、子育てを支えてくれる人たちがここにもいる。この助産院で3人の子どもを産んだことは私の一生の宝だ。
「シュンを産んだ日」という大切な日
子どもを産んでから、私は「誕生日」についての考え方が少し変わった。というか、別のとらえ方をするようになった。
子どもにとって、誕生日は「自分が生まれた日」だけど、同時に母親にとっては「子どもを産んだ日」でもあるのだ。自分の誕生日よりも、子どもの誕生日、つまり、子どもを産んだ日のほうが、私にとっては意味のある日だと思うようになった。だから今日は私にとって「シュンを産んだ日」という大切な日。
電報はメロディー付きのものだった。ボタンを押してみると「ハッピーバースデー」の音楽が流れてきた。音楽を聴きながら、私自身が「シュンを産んだ日、おめでとう」と言ってもらっているようなうれしい気持ちになった。
うどんカフェに行きました |
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手づかみで夢中になって食べるシュン。赤ちゃんにもおいしいものは分かるのね |
たらふく食べて、お昼寝タイム。この間に私はコーヒーいただいちゃおうっと |
ごちそうさま。帰りがけ、看板ママのキヨちゃんと |
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